【犯罪被害者の過失に焦点をあてるニュースについて考える(1)】

●これまで、教師が被害者の「車上荒らし」事件と学校が被害者の「空き巣狙い」事件のニュースを例に挙げ、これらの記事は「必要以上に被害者側の過失に焦点をあてて批判しているのではないだろうか」と問題提起してきました。

 私は、別に被害者が「教師」だからといってかばっているのではなくて、どのような職業の方であってもこの考え方は変わりません。
(マスコミ報道が教育関係者に対して他の職業以上に厳しく批判する傾向があるとは思っていますが、その原因についての私の考えはあとで紹介します)

○これに対してコメントやトラックバックで頂いた意見の中には、「過失がある以上、被害者側が批判されるのは当然」といった厳しい意見もありました。
 私は、今回批判の対象になっている盗難被害者(教師)に全く過失がないとはいいませんが、あえてその過失部分に焦点を当てて批判記事を書かなければならないほど、他の盗難被害者と比べて過失の度合いが大きいとは思えないのです。

 そこで、yahooニュースに掲載されていた個人情報が盗難被害に遭ったニュース(一般紙の報道及び通信社の記事のみ)11件を例にあげ、先に紹介した2件のニュースとどこが違うのか具体的に比較してみたいと思います。

●以下は、いずれも「車上荒らし」による個人情報盗難被害を伝えるニュースです。

①<個人情報盗難>人材派遣社員162人分、車上荒らしで
 人材派遣のフルキャストは21日、同社に登録されている派遣社員162人分の情報が入ったパソコンが盗まれたと発表した。今月19日、大阪市内で、帰宅途中の同社社員が駐車していた車の窓ガラスが割られ、業務用のノートパソコンが入ったカバンごと盗まれたという。現在のところ、不正使用などは確認されていない。(毎日新聞) - 4月21日

②個人情報入ったかばんが盗難=大京子会社
*マンション分譲大手の大京 <8840> は19日、子会社の大京管理(東京)・千葉支店が管理を受託する約70世帯の個人情報が流出したと発表した。同支店の社員が16日に東京・品川区の自宅に帰宅後、氏名や電話番号などの顧客の個人情報を記載した文書の入ったかばんを置いていた乗用車が車上荒らしに遭い、かばんが盗まれたため。(時事通信) - 4月19日

③<パソコン盗難>自治医大の医師 患者73人分の情報紛失
 栃木県南河内町薬師寺の自治医科大学付属病院は15日、呼吸器内科の男性医師が患者73人分の名前や病名など個人情報を入れた私用のパソコンを乗用車から盗まれたと発表した。パソコンにはパスワード設定をしているが、同病院は患者に謝罪し、事実関係の説明を進めている。(毎日新聞) - 4月15日

④盗難:児童のデータ入りかばん、車の中から盗まれる--牛久の小学校教諭 /茨城
 ◇駐車中、窓割られ--つくば
 12日午後10時ごろ、牛久市の市立小学校に勤める男性教諭(22)が、つくば市小野崎のレストラン駐車場に駐車していた乗用車内から、3年生とすでに卒業した6年生の児童計72人分のデータが入ったかばんを盗まれた。同小では13日、該当する児童宅一軒一軒を訪問、事件の報告と謝罪をした。
 市教委の調べでは、かばんに入っていたのは、今年度担任している3年生のクラスの児童氏名が記載された名簿、昨年度の6年生の児童氏名、電話番号が入ったフロッピーディスク1枚、校舎玄関のかぎ、職員会議要綱、教科書。車は施錠していたが助手席のガラスが割られ、助手席に置いてあったかばんを盗まれたという。
 市教委は同日、臨時校長会を開き、事件の報告をするとともに再発防止に努めるよう指導した。淀川ゆき教育長は「市民の個人情報を安全に管理、保存する立場にありながら、管理を怠ったことは誠に申し訳ない」とコメントした。【三木幸治】
4月14日朝刊(毎日新聞) - 4月14日

⑤全校生徒の個人情報盗難 岐阜県各務原市の中学教諭
 岐阜県各務原市の市立蘇原中学校(田口和男校長)の男性教諭が車上荒らしに遭い、全校生徒の個人情報を記載した名簿入りのかばんと、卒業生の成績を記録したパソコンを盗まれていたことが20日、分かった。各務原署が窃盗容疑で捜査している。蘇原中はこれまでに個人情報が悪用された様子はないとしている。
 同校によると、教諭は16日夜、帰宅途中に寄った岐阜市のショッピングセンターの駐車場に自家用車を止めていた。名簿は緊急連絡用に教諭に配布されており、生徒679人の名前や保護者名、電話番号などを記載。ノートパソコンには2001、02年度の卒業生約500人の成績が残っていた。(共同通信) - 2月20日

●続いて、以下は「置き引き」による個人情報盗難を伝えるニュースです。

⑥<トヨタ>約1万件の顧客情報盗難 委託先の社員が新幹線で
 トヨタ自動車は20日、システムの開発委託先であるNECの協力会社の社員が、トヨタレンタリース横浜(横浜市)の顧客9804件の個人情報の入ったパソコンを盗まれたと発表した。個人顧客1113件と法人顧客8691件の住所、氏名・企業名、電話番号、口座番号などの情報が含まれていた。今のところ個人情報が不正使用された形跡はないという。
 NECの協力会社社員は3月31日に、新幹線の車内で盗難にあった。トヨタは今月4日にNECから連絡を受け、顧客への事情説明を終え、発表した。【工藤昭久】(毎日新聞) - 4月20日

●最後に、以下は「空き巣狙い」による個人情報盗難を伝えるニュースです。

⑦生徒情報入ったPC盗難 三重県立高校で276人分
 三重県教育委員会は9日、津市の県立津工業高校(高瀬進校長)の生徒指導室から、在校生や卒業生計276人分の成績や電話番号などの個人情報が入ったパソコン1台が盗まれたと発表した。
 同校は津署に被害届を提出。県教委は「パスワードが分からないとパソコンの個人情報は利用できない」としている。
 県教委によると、パソコンは数学担当の男性教諭(37)が使っており、1年生から3年生まで197人分の数学の成績や、卒業生40人分の各教科の成績などが保存されていた。
 9日午前11時ごろ、別の教諭が生徒指導室の窓ガラスが割れているのを発見。机の上に置かれていたパソコンが盗まれていたほか、生徒から預かっていた制服約70点も盗まれていた。(共同通信) - 4月9日

⑧名簿入ったパソコン盗難 静岡の小学校教諭が被害
 静岡県豊田町の町立小学校の女性教諭宅から、全校児童と新1年生の計480人分の名簿などが入ったノートパソコン1台が盗まれていたことが15日、分かった。磐田署は窃盗事件で捜査している。
 同町教委によると、被害に遭ったのは今月10日午後9時すぎで、自宅2階の仕事部屋にあったパソコンや現金入りの財布などが盗まれた。教諭や家族は1階にいたが気付かなかったという。
 パソコンには児童や保護者の氏名、住所、電話番号などの個人情報が入っていた。教諭が学級編成の作業などのため、学校のパソコンからダウンロードして自宅に持ち帰ったという。(共同通信) - 3月15日

⑨患者情報入りパソコン盗難 京大病院249人分
 京都大病院(京都市、田中紘一院長)は15日、研究室にあったノートパソコン9台が盗まれ、うち1台に249人分の患者の個人情報が含まれていた、と発表した。田中院長は「患者に不安を与えることになった。関係者におわびしたい」と謝罪した。
 同病院は府警川端署に被害届を提出。個人情報が保存されていた患者に個別に電話をして、謝罪しているという。
 病院によると、禁煙後にニコチン中毒の治療を受けていた外来患者のデータで、氏名、年齢、電話番号、病歴などが含まれていた。通院をやめた患者から相談を受ける際の基礎資料として、担当医が個人のパソコンに保管していた。
(共同通信) - 2月15日

⑩顧客情報入りのPC盗難 滋賀トヨタ、1691人分
 滋賀トヨタ自動車(大津市)は4日、同社彦根店(滋賀県彦根市)で昨年12月、顧客1691人の個人情報を入力したノートパソコン3台が盗まれたと発表した。
 同社は既に顧客に謝罪。彦根署が窃盗容疑で捜査している。
 同社によると、パソコンは彦根市などに住む顧客の住所や電話番号、自動車保険加入状況などを入力。事務所1階に置いてあった。昨年12月22日から23日に、窓ガラスを割って侵入、盗み出したとみられる。
 パスワードを打ち込まないと見ることはできず、これまでに個人情報が不正使用されたという報告はないという。
(共同通信) - 2月4日

⑪カード情報700人分盗難 56人分はネット購入に悪用
 横浜市戸塚区の昭和シェル石油(東京都港区)系列のガソリンスタンドで、少なくとも顧客698人分のクレジットカード情報が記載された伝票を含む約1600枚が盗まれ、56人分のデータがインターネットの商品購入に悪用されていたことが31日、分かった。届けを受けた戸塚署は窃盗事件として捜査している。
 同社によると、盗まれたのは2004年1月5日-10月30日の間の特定の8日分の顧客伝票。支払いがクレジットカードだった伝票にはカード番号、ローマ字氏名、有効期限などが記載されていた。今月7日、信販会社から連絡があり、10月30日に利用した顧客56人分のカード情報で、インターネットの商品購入申し込みが計138件あったことが分かった。
(共同通信) - 3月31日

 【犯罪被害者の過失に焦点をあてるニュースについて考える(2)】に続く。
[PR]

by azarashi_salad | 2005-04-23 13:31 | 私説 <:/p>

<< 【犯罪被害者の過失に焦点をあて... ▼パソコンを鍵付きワイヤで固定する? >>