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【連載企画】日本が”核のゴミ捨て場”になる日-震災がれき問題の実像-(特別編・後半)

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(特別編・後半:情報共有コミュニティに残された住民運動の記録②)

連載企画(第12回:「広域処理」の必要性を検証③)では、愛知県が実施した「試験焼却」アンケートに対して、県内全ての自治体が「NO」回答した事実を紹介した。編集の都合上、書籍からは大部分がカットされた住民運動の記録を紹介しておこう。

6月から7月にかけて住民グループは再び要請活動に乗り出した。広域処理の問題を整理した資料や要請文を愛知県議会議員103名全員に送ることにした。「無意味な試験焼却を行わない」「復興予算の流用であり、税金の無駄遣いである広域処理を中止しよう」と訴えたのだ。

ここで筆者が管理人を務める情報コミュニティーの内容を再び紹介しよう。2012年6月から再度活発になった住民たちと地方議員や自治体担当者とのやりとりだ。2011年10月の時と同様、◎印ごとに発言者は異なっている。

発言者の名前を明記しないことや、読みやすくするために適宜、文の省略や削除などを施していることはお許し願いたい。(地の文は住民たち、『太字』は担当職員や地方議員のコメント)

【2012年6月:各自治体への要請行動】
◎昨年の10月に引き続き、また各自治体への電話作戦が必要な状況です。各自治体は県からの「試験焼却」要請を持ち帰り検討しているはずなので、週明けから各自治体に対して「NO回答」を要請する必要があります。どうでしょう、また頑張れますか?
◎やりましょう。(某携帯電話会社社長風に)
◎私もやります!平日電話できなかったら、メールでの参戦でお願いします。
◎前回と違って今回は各市町村もある程度聞く耳を持ってくれるはず。
◎静岡や北九州の例を見れば分るとおり、試験焼却を認めたら終わりです。必ずがれきを受け入れていますので、これが最後の勝負です。結果は情報共有して下さい。
◎愛知県から「災害廃棄物の試験焼却の実施に関するアンケート調査について」市町村の回答期限は平成24年7月13日です。
◎岡崎市です。いつも話を伺っているがれき担当のトップの方と、色々お話ししました。
『もし市町村が受け入れるとしたら、同時多発的だろう。よっぽどやりたい自治体じゃない限り、どこかの市が単独で受け入れることは、今の状況からして有り得ないだろう。逆に、回りの市が受け入れるとした場合、岡崎市だけ受け入れません、ということはないだろう。県は、「試験はあくまで試験で、必ずしも本焼却につながるものではない」と言っているが、そうは思っていない。焼却データなどは、現地でいくらでも取れている。試験とは、焼却が滞りなく工程を終えることができるか、を見る、本焼却のリハーサルみたいな位置付けだと思う。なので、試験を受け入れたら、本焼却も受け入れる、ということになると思う』
◎名古屋市環境局工場課に電話しました。
『金曜に県から言われたのは、試験焼却をやってほしいということだけで、まだ聞いたばかりだし、説明資料を県が作成するということなので、それを待っているところ』とのこと。反対意見は歓迎の様子でした
◎一宮市施設管理課
『当市は埋立地がないので、ASEC(愛知臨海環境整備センター)や三重の産廃業者に頼んでいる状況。たとえ復興支援でも、他の地域のものまで受け入れるのは困難。試験ということで焼却しても、その先受け入れることができないのであれば、試験焼却すること自体が無意味』ごもっともでした。
◎南知多やりました。
被害地自治体の借金になるので、どうか勘弁してくれなんしょ、こらえてくなんしょ、会津弁で陳情しました。環境課、現状、非常に好意的です。地方自治体なので、この手法だど電話の陳情はひとり一回、しかしむしろ恫喝よりも危険は少なく、なおかつ理解は得られやすいようです。また、がれきの引き受けの抗議、よりも、被災地の自治体ために思いとどまろう、こちらのほうがすんなりと受け入れやすいようですね、地方自治体側としては。明日のわが身ですから。
◎南知多町役場に電話しました。
『7月13日の期限までに回答するが、まだ何も決まっておらず、これから検討する』
昨日まで電話がなかったのに、今日いきなり沢山の反対電話がありびっくりしていて
『何を見て電話してきましたか?』と聞かれました。
◎稲沢市環境施設課
『試験焼却の話は来ている7月13日までの回答。資料を色々調べている段階』愛知県議会議員さん全員にも資料を渡してあります、県議の自民党の多くは受け入れに反対しているようだと伝える。代替え案、埋め立て案、防潮堤案などの事も話す。宮脇昭教授の案はご存知なかったが、それも調べてみますと交友的。
『実際に焼却施設作業員の健康被害がでているからね』と受け入れには慎重姿勢でした。被災地の現場の方の健康や環境の事も心配されてました。森の防潮堤についても
『コンクリートで周りを固めても、雨などで水にさらされたらその水は何処かに流れるね』と現地の事を心配されてました。
◎東郷町環境課に確認
『県が焼却炉を作らないということは、試験焼却の目的は市町村・一部事務組合が持っている炉で燃やすことだけが前提になってきた。もし試験焼却で炉がダメになったらどうしてくれるのか、ということについては県は何も言ってない。絶対大丈夫だからやってくれ、ということだろうが、当事者としては慎重にならざるを得ない』
◎愛知県災害廃棄物処理推進課
『試験焼却も焼却炉建設も視野に入れて検討中です。受け入れるとすれば安全安心な瓦礫を受け入れるので、周辺住民の方への影響は無いと考える』とのこと。
『健康被害が出れば愛知県で保証することになるでしょう。基準も補償内容も決まっていません』とのこと。広域処理することで被災地の起債(借金)が発生することを伝えても
『被災地から広域処理を依頼されているので、現地では瓦礫を受け入れることを望まれています』の一点張りでした。
◎愛知県災害廃棄物処理推進課に電話しました。
5月21日の環境省発表で、広域処理の可燃物は105万トンであり、受け入れ要請自治体の合計量はこれを上回っているのにも関わらず、なぜ北九州市のように輸送コストを掛けたり、新たに焼却炉を作ったり処分場を造成してまで、受け入れる必要があるのか、変なことをするなあと思っているのですが。受け入れは可燃物ですか?
『はい。そうですね。可燃も不燃も両方、被災地の要望に合わせて検討しています。だから今、焼却炉建設は見合わせる可能性も出ています』
焼却炉は作らないわけですね。それとですね、これに関わるお金の試算を、是非受け入れる前に公表して頂きたいです。まず6億円予算つきましたよね。
『使ったのは1億円です。それと、住民説明会等に7000万円使います』
被災地で処理する方法もあるわけですから、愛知で受け入れた場合とどれだけコストが違うか、住民としても知りたいです。それから、可燃物を受け入れないので焼却炉を作らないのであれば、試験焼却する意味はないのではありませんか?
『はい。そのようなご要望としてお伝えしておきます』
よろしくお願いします。金額の試算もよろしくお願いします。
◎大口町環境課
返事としては
『はっきりしていない』ということでしたが、担当者が困っているのは、町長の姿勢。大口町長は被災地支援に熱心で、遠野市に被災地支援している。「想い」があるみたいです。ですので「クリアランスレベルでドラム缶に入れて保管するのが100Bq、それを費用をかけて運んで濃縮しますか?33~100倍に濃縮される可能性がありますが、県はそれを焼却炉の横に仮置きしろと言ってるんですよ。それできますか?町長はもっと勉強しろという意見です」と言っておきました。
◎扶桑町環境課
『江南・大口と足並みを揃えることになる。町議会は開けんから(時間的余裕がない)おそらくトップダウンになると思う。(復興費横取りの図式については)現地に行った職員もおるのでだいたいのことは判ってる。知らんわけではない。ウラとオモテがあるからオモテで(公式で)どういう対応をしていくか、という話になるだろう。現実的には受け入れは難しい話』
◎碧南市に電話しました。
『がれき自体も減ってきており、試験焼却しても焼却するがれきがなければ、意味がないのでは?不燃がれきにかわるのでは?状況が変わってきており、県の動向を見ているところ。7月6日に近隣市町で会議があり、そこで話し合うことになっている。市町名は言えない。碧南市単独では決められない』でした。
◎碧南市職員が、7月6日に近隣会議があるが、何処の市町かは言えないと言っており、それが凄く気になっていました。知立市に電話してその話をしたら、課長クラスみたいな人に代わり慌てた様子でした。
『環境課としてはその会議は関与しておらず、西三河での意見交換(首長会)だと聞いている。内容まではわからない。失礼ですがおたくは?何でこの事を知っているのか?』
みたいな感じでした。この日に何か重大なことが決まりそうで怖いです。
◎田原市に電話
『田原市は焼却灰を製品化して売っている。(放射性物質が出ると)商品として成り立たなくなるので困るため、試験焼却は出来ない』
放射性物質の事は言いにくいそうにしていました。私が念押ししたら『ハイ』と。
◎田原が試験焼却実施をしないと結論を出したと聞き電話してみました。
『田原市には赤羽根環境センターと炭生館、2箇所の焼却炉を持っているが、赤羽根は老朽化が激しく、余分な焼却をすることができない。また炭生館については第3セクターであり出てきた炭を燃料として出荷しているリサイクル事業を行っているため、これが少しでも汚染されたら商品として流通ができなくなる。これらの理由もありお断りする方向だが、全ては東三河広域協議会での話し合いによるので、明言はできません』
とのことでした。
◎豊橋市の状況が気になったので資源化センターに電話してみました。
『去年の回答時は数千トンという受け入れ目標値を環境省へ回答したが、その後老朽化、ゴミ燃料の状態、また去年の大型台風12号/15号などの影響から回答時の余力は既にない状態。現時点では東三河広域協議会として決定したがれき受入れでなく人的支援を、が、最終的な方向性と認識している』
◎岡崎市の担当者からメールが届きました。
『災害がれきの広域処理について、いつも情報をいただきありがとうございます。さて、この件についての最近の状況を少し連絡いたします。まず、愛知県議会の動きですが、新聞報道でご存知かと思いますが、県の計画の曖昧さが取りざたされており、現段階ではどの市町村においても、県の計画に追従することは難しく、岡崎市も同様です。次に、国の動きです。6月29日の環境省のHPをごらん下さい。広域処理にかかる国のスタンスが大きくかわりそうで、7月中旬に発表するとしている「広域処理を含めた災害廃棄物のより具体的な全体像を示す計画(=全体計画)」に注目しているところです』


(特別編おわり)


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クリックで救える命がある。

by azarashi_salad | 2015-06-04 18:34 | 政治 <:/p>

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