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【連載企画】日本が”核のゴミ捨て場”になる日-震災がれき問題の実像-(特別編・前半)

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(特別編・前半:情報共有コミュニティに残された住民運動の記録①)

「国策」という強大なものに押しつぶされそうになったとき、普通の住民はいったいどうすればいいのか。それらを考える手がかりに、と筆者は考えている。(「はじめに」より)

連載企画(第5回:「広域処理」という公共事業②)では、10月21日を回答期限とした「受入調査」に対して、各自治体とも取りまとめ役の愛知県に「白紙」回答した事実を紹介した。編集の都合上、書籍からは大部分がカットされた住民運動の記録を紹介しておこう。

筆者は当時、自らが管理人となってインターネット上で情報共有コミュニティーを作っていた。愛知県を中心に、がれき広域処理に反対する住民、およそ100名が参加するコミュニティーだ。ここに残された記録のほんの一部、抜粋ではあるが、日付順でひもといてみよう。期間は10月14日から21日まで。

以下、◎印ごとに発言者は異なる。発言者の名前を明記しないことや、読みやすくするために適宜、文の省略や削除などを施している。
(地の文は住民たち、『太字』は担当職員や地方議員のコメント)

【10月14日】
◎蒲郡市がやばそう、との情報が入ってきました、誰か確認をお願いします。
◎蒲郡市役所清掃課クリーンセンターの課長に電話しました。市役所にて確認したところ
『がれき受け入れは課長に一任し、決定することになっている』と聞きましたので確認しました。課長の上司に部長がいます。その方と協議し市長に決定してもらうとのこと。
『責任は市長が全て持つ』ちなみに蒲郡市長は今週日曜日の選挙によって決まります。最初にあった「一任し決定」の立場は市長不在の為と考えられます。課長は一貫して
『福島のがれきを受入れないのは同じ国民としてあってはいけない』と言います。私は「そう思わない。原則的に放射能は止めて拡散するべきでない。福島の人を助ける為にも汚染のない食物、土地を守りたい」と、もっと住民の気持ちを聞いてほしいと伝えました。課長は「THE公務員」です。私にまで
『組織は国、県、市である。よって国、県からの要請は聞かなくてはいけないの』と言うのです。「え、市民は」と聞くと
『それじゃ問題解決しないでしょ、ほかっとくのか』とまで言います。みなさん何とかしてください。
◎蒲郡、一体どうしたらいいのか途方にくれます。上司の部長に訴えればいいのか。
今度の市長が誰になるかで決まる。課長はきっと危険性も全くわかってないよね。
◎名古屋市にはメール、武豊町の施設には電話しました。春日井の母に市に電話するようにお願いしました。刈谷市の勉強会に参加した方にも。勢いつけていきたいですね。
◎吉川(三津子)議員(愛西市)より情報です。
『17日に海部環境事務組合の構成市町の首長の会があり、そこでこの地域の方針が決まります』市長が集まって方針を決めるみたいです。
『市長へ声を届けると市長も助かる』って。月曜日なので、拡散お願いします。
◎岡崎市。今まで電話していた時と、ちょっと対応変わった気がしたけど、気のせいかな。今までは
『まだ決まっていません』の一辺倒だったけど、今日は
『職員の安全性の問題や、住民の理解、施設の能力云々。色々問題がありますので、協議して』とか、受け入れることの問題点をいくつか挙げて
『すぐには決められないから、時間をかけて調べる』と言われました。時間かけて調べると言っても、20日の回答期限はあるわけで、そのことに突っ込んで聞いても
『特に期限を決めているわけじゃないので』と言われ話が噛み合わなかったから、私の突っ込み不足です。クリーンセンターの方が、丁寧に対応してくれて
『住民の理解が得られない限り、受け入れることはない』と言われました。でも施設の能力的には、6月に完成したばかりらしく
『ガスから放射性物質が出ることはない』と断言されましたが。

【10月15日】
◎環境省の事務連絡文書の件は情報公開の面でも大問題です。マスコミにも広めた方がいいみたいです。中日新聞の県庁担当はこの文書の件を知っているそうです。
『環境省はおかしい』と言っていました。
◎月曜に地元の愛知県議会議員に電話、地元の衆院議員と面談、市議会議員を通して教えてくれるか確認して、この件聞いておきます。
◎ツイッターでマスコミ関係の方(お話したことがある方)に、中日新聞のリンクを見てもらい、広めていただけるようお願いしようと思います。

【10月16日】
◎マスコミ関係は、朝日新聞、毎日新聞、北海道新聞、佐賀新聞、時事通信に情報提供して、記事にしてもらうようお願いしましたが、こちらは掲載されるかどうか・・・。

【10月17日】
◎蒲郡の課長、他の人もひどいって話題になっていた。
『ストロンチウムは体に入っても問題ない』と言い切っていたって。
◎課長いなかった。変わりにガラガラ声の人。結構いい対応だったけど「課長さんが受け入れるって言っているから市長も受け入れる方向へ気持ちが行くのでは」と言っておいた。
◎愛知県庁と名古屋市役所と、稲沢市役所に抗議メール送りました。あと市長にもメールしますね。
◎あま市・小牧市にもメールしました。仕事で電話はなかなかする時間がなく、仕事が終わるころには業務時間外になってしまいメールしかなかなかできなくて申し訳ないです。
◎豊川市清掃事業部に電話しました。中日新聞と業務連絡文書の話をした。
どういう方向で検討しているのか。
『まだ何も決まっていない、返答の仕方もこれから検討する。市民にも説明をしていく。最終的には市長が決定する。』
吉川(三津子)議員(愛西市)のブログに文書が公開されているが、まだ検討していない場合の返答は空欄でも良いと知っているのか。
『ABCの検討状況の箇所は知っているが、返答の仕方の文書は知らなかった。ああ、愛西市の議員さんですね。』
市民からの声は上がっているのか。
『たくさんメール・電話が来ています。きちんと意見は報告します。』
いつも検討していない、これからだという返事。もう時間がないよ。
◎蒲郡市役所の部長に電話しました。課長の対応の件で。途中で電話を切られたひとがいる、と言うと
『そんなことをする男ではない』と。ストロンチウムを体に入れても問題ない」には
『専門家ではないが、そんなことをいうはずはない』などと一貫して課長をかばいました。そして
『その電話はいつ掛けたのか』と執拗に聞かれました。口を挟む隙も与えられずしゃべり通しで、こちらの話は聞かない。どのような方向で検討しているのか?と聞くと
『あなたに返事する必要はない』と言われた。結局はなにもわからなかったし、聞けなかった。
◎刈谷市議会議員に回答の件を聞きました。
『白紙回答はしないつもり、体のいい断り方を探している』と担当部署の長が話していたそうです。現状で受入れることは安全面から見て難しいと考えているようでした。「放射能汚染無いことが確認できるようになるまで受入れしない」と回答するようその議員さんは要請したそうです。そして「無い」即ち「ゼロ」にすることはできないかもしれないとも。汚染が濃縮された焼却灰はどうするのかと聞いたら、
『それは国の方で最終処分場を決めてもらってからしか受入れ無いよう国会議員に要望を出している』そうです。愛知県知事は受入れ推進派なので
『もっと多くの議員に危機感を持ってもらえるよう働きかけて欲しい』と言われました。
◎名古屋市に以下のとおりメールしました。事故発生から半年以上が過ぎたが、放射能汚染された廃棄物の受け入れについては一度も住民の意見を聞かれた覚えがなく、まだ「検討していない」はず。県への回答では必ず「検討していない」=「空欄」で回答するようつよく要望します。
◎愛知県大府市は
『受け入れ表明はしない。住民に被害や精神的苦痛を伴うものはだめ。白紙回答だろう。』と言って下さいました。
『安心して下さい』とも。
東浦町でも
『放射能の問題が解決しなければ住民に説明できない。問題のある物は持ってきてはいけない。』
東部知多衛生組合も
『受け入れ難しい考え。』
豊川市、名古屋市とも
『まだ検討中でどのような回答をするか決まってない』そうです。問合せ、豊川市は20件未満、名古屋市は10~20件程度だそうです。

【10月18日】
◎刈谷の共産党支部の方が
『刈谷市は受入れを白紙に戻したので、回答はアンケートで決める』と教えてくれました。詳細は教えてもらえなかったのだけど。やっぱりFAXで議員全員に送った方がいいかな。
◎弥富市から回答きました。以下転載。
『東日本大震災におけるがれき処理受け入れについて(回答) 弥富市の廃棄物処理につきましては、海部地区の市町村で組織する「海部地区環境事務組合」において共同処理しております。東日本大震災における瓦礫の受け入れについて、「海部地区環境事務組合」に確認したところ、①受入対象である可燃性廃棄物がセシウム134、137等の放射能に汚染されていないこと。②地元住民の同意を得ること。などの条件が満たされない限り、がれきの受け入れはしないとのことです。』
◎岡崎市役所環境部ごみ対策課の方に、直接話を聞いてきました。あの調査表、現時点では岡崎市は
『空欄で提出予定』だそうです。
◎事務連絡についてですが、荒深(久明臣)議員(愛知県)と近藤(徳久)議員(名古屋市)には私から本日、メールします。10/20まで時間がないので何か対応をしてもらえるかは分からないけど。
◎門原(武志)議員(東郷町)よりメールがあり
『尾三衛生、がれき受け入れないと回答する予定です。今朝、東郷町役場に確認しました』だそうです。
◎長久手町:現在瀬戸市などと合同で協議中。「白紙で」とお願いしたら
『恐らくそうなると思います』と回答頂きました。
◎とりあえず空欄回答をお願いするのと、自分の思いを付け加えた内容でメールしました。豊川市・名古屋市済み。あとは蒲郡にメールします。
◎新城市に電話しました。時間外だったせいか、クリーンセンターの番号を案内されました。
『まだどう回答するかは未定』だそうです。課題が山積していること、住民の理解が得られてないことは認識されていました。明日、東三河の市町村で集まりがあるようで、そこでがれきの件も話をするみたいです。
『周りの市町村と足並みを決めることになる』と言っていました。東三河地区は手薄だった気がするので、できれば明日朝までにメール・FAXした方がいいかと思います。
◎名古屋市の市議員・県議員4、5人に事務連絡文のFAXとメール送りました。返事はないですが。明日は愛知の手薄になっているところにもメールします。
◎海部清掃事務組合の組合長に電話。
『今のところ汚染がれきは受け入れない。今後は分からない』

【10月19日】
◎蒲郡市に電話しました。
『今日は東三河5市でのがれき受け入れについての会議に出席しているため担当者は不在』とのことでした。代わりに話をした方は
『できれば受け入れたくはない』とおっしゃっていました。蒲郡市も少し変化が見られます。「東三河5市」で共同歩調の可能性が出てきました。後一歩かも。
◎北設広域事務組合環境衛生課
『何件かご意見頂いています。』電話ではっきり「白紙」回答とは言えないが察して欲しいと言う感じでした。

【10月20日】
◎新城市環境部生活衛生課(新城市クリーンセンター)
『回答はまだ決まっていない。』(上の者がいないのですみませんと)豊橋は受け入れないみたいですと言ったところ
『周りの自治体に合わせるだろう』と言われた。
◎刈谷知立環境組合クリーンセンター
『今回の調査では受入れは表明しない』それだけ言われました。
◎田原市清掃管理課 
『回答は「検討中である」に統一するようになっている』とのこと。拒否or白紙については
『意見としていただき市長へ上げます』とおっしゃっていましたが、疲れちゃっていました。
◎新城市生活衛生課
『ABC選択については白紙で出す予定、検討するにも条件すらないのでそれがクリアにならないことには。処理能力や処理余力など、回答できるところは記入する予定だが、その内容については上のものがいないので答えられない』とのこと。これは白紙提出と取っていいと思います。豊橋市と同じで
『検討するにも条件が』と会話中3回おっしゃいましたので。また
『スラグなど資源再利用はなく、バグフィルターは付いている』とのことでした。
◎新城市、私も朝電話して「豊橋市は受け入れないみたい」と言ったら深く受け止めている感じでした。
◎今日、豊川市役所経済環境部清掃事業課からの返信メール来ました。
『豊川市では、現段階でのがれき受入について、方針を決定するために必要な情報が不足しているため、今回の調査について、検討状況の欄は空欄といたしました。』とのこと。
◎刈谷市環境課より電話で回答あり(以前市長に電話した件)
『本日、白紙回答しました。』一歩前進ですね。
『多数の問い合わせをいただいた。』とおっしゃっていました。みなさまありがとうございます。
◎豊田市清掃施設課への問い合わせメールの回答が届きました。豊田市へ問い合わせをしてくださった皆様、ありがとうございました。今回はとりあえず回避できそうで、少しほっとしております。
『豊田市における清掃事業につきましては、日ごろからご協力いただき厚くお礼申し上げます。回答が遅くなり申し訳ありません。災害廃棄物の受入検討状況調査への回答ですが、現状では受入廃棄物の性状等が把握できないこと、廃棄物の安全性や周辺環境、施設への影響等の情報が不足していることなどから、豊田市としては現状では、白紙で回答する予定です。いただいた貴重なご意見は、今後の参考とさせていただきます。ありがとうございました。(豊田市環境部清掃施設課)』
◎江南丹羽環境管理組合、江南市、大口町、扶桑町、三箇所からのゴミ処理施設です。
『今回は白紙解答。一部については記述したが、その内容については、非公開とさせて欲しい』とのこと。
『リサイクルしているものもある』とのこと。とても丁寧に回答頂きました。
◎北設広域事務組合環境衛生係、設楽町、東栄町、豊根村、長野県根羽村の4町村の焼却施設です。
『4町村の総意がなければ回答内容について公表はできません、検討中としか言えない』とのこと。
『施設は焼却炉しかなく、溶融炉がないのでリサイクルは行っていない、バグフィルターは付いている、電話は掛かってきており、心配は理解できる』とのこと。データに基づいてしっかり考えてくれそうな人だったので、かなり白紙に近い「検討」だと思いました。
◎稲沢市環境センター
『稲沢市としてはがれきへの放射能汚染が無いという確証が得られない以上受入れることは出来ない。受け入れには否定的と捉えていただければ結構です。リサイクルは焼却灰を委託する形なので、当市では行っていない。基本方針として住民不安に繋がる不明なものを受け入れる予定はない』とのこと。
◎今日、刈谷の市議さんがわざわざ家に来てくれて
『白紙回答しましたよ』と教えてくれました。その時に
『正直なところ、どこの自治体も本音は受け入れたくないんだよ。だって(放射能に対応した)設備が無いから。今回は調査だったから断れたけど、国が強制してきたらどうしようって心配している』という感じの話を聞きました。で、
『これからもがんばっていきましょう』と。一安心のところもありますが、まだ油断はできませんね。
◎豊田市は
『白紙で出す』
豊橋市は
『受け入れない』
◎自分の選挙区の共産党の議員さん(現在当選はしていない)に瓦礫の事務連絡文の資料をFAXで送ったら、資料を共産党名古屋市議団に渡してくれたみたいです。愛知県の多くの方が水面下で瓦礫のことで動いて下さっています。
◎愛知の受け入れ状況調査回答予定MAPを早速作ってくれた方がいました。皆の協力でここまでできました。ここまで動いた愛知県民の団結力に私は圧倒されました。まだ愛知も危ない状態ではありますが、とりあえずみんなお疲れ様。

【10月21日】
◎愛知県岡崎市、確認しました。例の調査票、県への回答は
『無回答(空欄)で提出した』と環境部に確認しました。
◎蒲郡市役所清掃課クリーンセンターの課長に電話しました。課長が変わりましたね。
『蒲郡は白紙で回答し、国や県に多くの問題点(運搬は陸路からか、海からなど)を上げた』そうです。
『問題は多く、それをひとつひとつクリアしていくのは大変』だそう。しかし
『この問題は稲葉市長(11月就任)に任せられる』とのこと。
『市外からやたらめったら抗議の電話がかかって来てる』って、ぼやいてましたよ。みなさんのおかげです。あんなに頑固な課長さんが
『現時点で問題だらけじゃないですか、難しいよね。』って。
◎豊橋市に電話して愕然としました。豊橋市資源センター
『白紙回答。ただし検討内容等については、・安全が確定したものは受け入れる・搬出元、荷降し場、保管についても測定を行い安全確保を条件とする・濃縮については解ってきているので、受入れ元の汚染度合いについても確認が必要。』つまり、豊橋市は白紙ではあるものの「受入れを前提としての回答」であり、国が基準値をまた勝手に定めたら、それを守って瓦礫の受入れを行うとのことです。
◎愛知県は
『回答を今日できないので引き伸ばしてもらっている』そうです。名古屋市は
『白紙回答で提出しました』とのこと。
◎蒲郡市の課長に電話しました。「本当にありがとうございました」って言ったら色々教えてくれたよ。
『国や県が安全だという説明もなしに受け入れは出来ないし、住民が納得いくような説明を専門家を呼んでしたりしなければ受け入れられると言えませんので』ってさ。
◎あま市の回答
『専用の焼却施設はありません』
ナイスな答え。受け入れるとも受け入れないとも書いてない。
◎名古屋市も白紙で回答。愛知県は全ての市町村が白紙回答かな。

(特別編・後半につづく)

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クリックで救える命がある。

by azarashi_salad | 2015-06-03 18:31 | 政治 <:/p>

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