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瓦礫広域処理の終焉

◇環境省の「デタラメ除染」がここ数日マスコミ報道を賑わしているが、このブログでずっと指摘しているとおり「瓦礫広域処理」の方がずっとデタラメな事業であり、流石にまずいと思ったのか、ここにきて各自治体で広域処理の中止や前倒しが相次いでいる。

◆がれき受け入れ終了へ 岩手から計1065トン、1年3カ月前倒し(12/21:毎日新聞)
 埼玉県は20日、東日本大震災によって岩手県で発生したがれき(木くず)の県内受け入れが、25日までに終わると発表した。県内に持ち込まれるがれきの見込み総量は1万1300トンで、14年3月までかかる予定だったが、10分の1以下の1065トンにとどまる見通しとなり、約1年3カ月前倒しされる。現時点で、岩手県が新たながれきの受け入れを要請する予定はない。
 岩手県野田村周辺で発生した木くずで、県内のセメント工場3カ所に受け入れてきた。搬入にあたって、放射性物質の濃度について7段階11項目の検査を実施してきたが、これまでに受け入れ基準(1キロ当たり100ベクレル以下など)を超えたケースはない。
 県によると、木くずの総量が大幅に減ったのは、推計量の計算に使った比重の計数が実態よりも重かったり、柱材と角材で100%とされたがれきの山に土砂などが混ざっていたりしたためという。
 県内への受け入れは9月6日から始まり、岩手県が今月19日付で搬出の終了を通知した。工場別の受け入れ予定量は、太平洋セメント熊谷工場(熊谷市)392トン▽同社埼玉工場(日高市)224トン▽三菱マテリアル横瀬工場(横瀬町)449トン。【木村健二】

◆北九州での焼却は3月まで 震災がれき、宮城県が方針(1/10:中国新聞)
 宮城県は10日、昨年9月から北九州市に委託している東日本大震災で発生したがれきの焼却処理を、今年3月末で打ち切る方針を固めた。同日中に若生正博わこう・まさひろ副知事が北九州市を訪れ、これまでの謝意と打ち切り方針を伝える。当初は来年3月末までの委託を予定していた。
 可燃がれきの量を精査した結果、想定より下回ることが分かり、北九州市の処理を前倒しでやめても、目標とする来年3月のがれき処理完了は可能と判断した。県外への広域処理は東北と関東に限定する。
 現在西日本で処理を引き受けているのは北九州市のみで、今年2月からは大阪市が岩手県分を引き受ける。岩手県は大阪より西の自治体への要請は予定しておらず、4月以降、中四国や九州は広域処理の対象から外れる。
 宮城県は昨年7月に処理量を精査した際、広域処理に回す可燃がれきは22万トンと推計。その後、がれき置き場の状況を確認して処理量を見直す中で大幅に減ることが分かった。
 北九州市でのがれき処理をめぐっては、激しい反対運動が起きたほか遠距離輸送のためコスト高を指摘する意見もあり、宮城県は早期打ち切りが可能か検討してきた。
 北九州市は今年3月までに計約2万3千トンのがれきを処理する。

◇報道によると、宮城県は「広域処理を東北と関東に限定」、岩手県は「大阪より西の自治体への要請は予定していない」とあるが、未だに北九州、大阪、静岡、北陸各県などで瓦礫受け入れの実施または検討がされており、これらの自治体は、直ちに受け入れを中止・断念すべきである。
 以下にその理由を具体的なデータで示す。

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 平成23年12月6日に環境省がまとめた岩手県、宮城県の瓦礫処理計画では、岩手県の県内処理予定量は419万㌧、広域処理希望量は57万㌧、宮城県の県内処理予定量は1225万㌧、広域処理希望量は344万㌧で、この数値について環境省廃棄物対策課の山本昌宏課長は「もともと中で出来ないものを外でやるという考え方ですから、全部できるんだったら外でやる必要はないんです。中で出来ないものっていうのは何か、という事を出していただいたものを我々は、岩手県では57万トン、宮城県では340数万トンあります」とコメントしている。

●瓦礫処理計画(平成23年12月6日公表:環境省)
岩手476万㌧(広域処理希望量57万㌧、県内処理予定量419万㌧
宮城1569万㌧(広域処理希望量約340万㌧、県内処理予定量約1220万㌧
◆災害廃棄物の広域処理

→上記数値についての環境省担当課長コメント
 もともと中で出来ないものを外でやるという考え方ですから、全部できるんだったら外でやる必要はないんです。中で出来ないものっていうのは何か、という事を出していただいたものを我々は、岩手県では57万トン、宮城県では340数万トンありますというので、今お願いしているので、そこは宮城県のご検討で変わってきて、「ここまでは自分たちでも十分期間内にできると、だから、ここをやってくれ」という事で変わってくれば、それは変わったものについて「是非ご協力をお願いしたい」っていうお願いをして回るんだと思います。(2012年4月19日:環境省 廃棄物対策課 山本昌宏課長)
◆ガレキは本当に広域処理しないといけないの?

◇これに対して、二度の見直しにより実際の瓦礫総量は、岩手県が395万㌧、宮城県が1200万㌧しかなく、いずれも平成23年12月の処理計画における県内処理予定量を下回っている。

つまり環境省廃棄物対策課・山本昌宏課長のコメント「もともと中で出来ないものを外でやるという考え方ですから、全部できるんだったら外でやる必要はないんです」に従えば、現時点で両県の瓦礫を広域処理する必要性が失われていることになる。

●瓦礫の総量(環境省HP)
岩手395万㌧
宮城1200万㌧

◆岩手・宮城がれき処理データサイト

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更に、宮城県では平成24年末の見直しにより上記より可燃物が約60万トンも減っている。(現時点で総量1140万トン)
◆可燃性廃棄物(焼却)の広域処理の見通しについて(H24.12 現在)(震災廃棄物対策課)

瓦礫が減った理由について宮城県は「仮置き場のがれきの中に不燃物の土砂が多く混じっていた」ことや「津波の被害を受けて解体される家屋の数が想定よりも少なかった」ことなどを説明しているが、ならば当然岩手県においても同様の検証が必要ではないだろうか。

宮城県も岩手県も、これまで数回の見直しを行うたびに瓦礫の量が減っており、埼玉県が瓦礫の受入を終了したことを考えると、現在公表されている岩手県のデータ(総量395万トン)ですら、そのまま信用できる状況にない

そもそも岩手県の瓦礫処理計画は、不燃物の処理についてデタラメな説明を繰り返しており、もっと厳しい検証が必要である。
◆岩手県の漁具・漁網(不燃物)広域処理の「ウソ」を暴く

「広域処理の必要性」を証明する瓦礫の正確な量もきちんと検証もせずに、現地処理より数倍高コストと分かっている広域処理を進めることは、納税者としてとうてい納得できるものではない。

◇瓦礫処理は復興予算による公共事業だが、広域処理すると現地処理では不要な輸送費がかかりコスト高になるのに加えて、廃棄物処理施設整備の補助金交付により被災地以外の自治体に復興予算がばらまかれており、今すぐ広域処理を中止して、本来の被災者支援に復興予算を使うべきである。


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by azarashi_salad | 2013-01-10 19:17 | 政治 <:/p>

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