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愛知県が震災瓦礫の受入を断念 (3)

 一方、これだけ問題点が山積みなのに、政府・与野党・マスコミまでもが一体となって強引に瓦礫の広域処理を推進する理由は何か、その本質が見えてきたのもこの頃だ。

 政府・マスコミが一体となってキャンペーンしている「食べて応援しよう」も「みんなの力でがれき処理」も、本来は東電が負うべき放射能汚染被害の損害賠償額を少なくすることが目的と考えれば、全てが経済合理性に基づく活動であることが理解できる。
 レベル7の原発事故が未だ終息していないのに原発を再稼働したり、汚染された地域に子供たちを置き去りにしたまま事故以前の生活に戻ろうとするのも、全てはリスク回避による安全よりも経済合理性を重視しているからに他ならない。
【重要・拡散希望】政府が広域処理を進めたい本当の理由

 このため瓦礫広域処理についても、安全面から見た問題点だけではなく予算面から見た問題点にも注目し、住民を対象にした勉強会を開催するとともに、自治体や地方議員には面談したり資料を送付して問題点を訴えてきた。
【考察】予算から見た瓦礫広域処理

 これに対して、当初は二度にわたって国に質問書を提出するなど瓦礫の受け入れに慎重な姿勢を見せていた愛知県だが、3月に入ってから大村知事がその姿勢を一転し、知多市、碧南市、田原市の3カ所に瓦礫処分場を整備する計画を一方的に表明した。
 さらに、そのための検討・調査費として6億円もの補正予算を議会に諮ることなく専決処分するなど、強引な瓦礫受け入れ計画を推し進めようとした。
「汚染廃棄物の広域処理問題に関する勉強会」資料

 しかし被災地で瓦礫を精査した結果、瓦礫の総量は政府が公表していた2200万トンから大幅に減って当初の6~7割程度まで下方修正され、わざわざ高い輸送費をかけて遠方で広域処理しなくても、現地で十分処理できることが数字上からも明らかである。

 さらに、愛知県では上述した地道な市民活動を継続してきたこともあってか東三河広域協議会が瓦礫受入不要の意見をHPで表明したり、瓦礫処理予算を議論した愛知県議会においても野党自民党が提案した修正案が可決して県政史上初の「再議」に持ち込まれるなど、瓦礫受け入れが被災地支援ではないことが各自治体や地方議員にも浸透してきた。
【重要】東日本大震災で発生した災害廃棄物の受入れに関する市町村長会議について

 こうした状況をふまえ、愛知県が7月に実施した試験焼却アンケート調査に対しては、全ての自治体が「NO回答」を返す結果に繋がり、この時点で愛知県の瓦礫受け入れ計画は事実上消滅したと言っても良いだろう。

 ここまでの経過を振り返ると、やはり瓦礫処理予算(=復興予算)の問題点に注目し、各自治体や多くの地方議員に訴えてきたことが効果的だったと思う。
 瓦礫処理予算の財源は私たち国民全員の増税で賄われる復興予算である。
 このため一銭たりとも被災地外には流用させず、また無駄遣いせずに効率的に予算を執行するよう国と自治体に強く求めていく、私たちにはその権利があるはずだ。
(了)

【備忘録】愛知県が震災瓦礫の受入を断念 (1)

【備忘録】愛知県が震災瓦礫の受入を断念 (2)


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by azarashi_salad | 2012-10-24 12:36 | 健康 <:/p>

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