家庭ゴミの処理場で放射能汚染された瓦礫を処理するとどうなる(まとめ)

●愛知県一宮市にある一般廃棄物処理場「一宮環境センター」を見学してきた。
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環境省は、放射能汚染された災害廃棄物を普通の家庭ゴミと一緒に全国の一般廃棄物処理場で焼却処分しようと計画しているが、そんなことをして本当に大丈夫なのだろうか。

ゴミ処理の各工程毎に気がついた問題点を上げてみる。

1、収集したゴミは可燃物であることを確認してから「ゴミピット」に集められる。
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◎「ゴミピット」は周りの環境と遮蔽されておらずゴミ搬入口で大気と繋がっており、ここから放射性物質が拡散し、作業員及び周辺住民が被曝するリスクがある。

2、「ゴミピット」に集められたゴミはクレーンで焼却炉に運ばれる。
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◎クレーンや炉の投入口にに引っかかったゴミを作業員が手で取り除くこともあり、作業員が被曝するリスクがある。

3、焼却炉から出た煙はフィルターシステムで汚染物を除去した上で煙突から大気中に放出される。
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◎フィルターはエアコンや掃除機のような交換式ではなく機械的なシステムとして構築されており、定期的に作業員が清掃する必要があり、作業員が被曝するリスクがある。

4、焼却炉から出た灰はコンベアにより「灰ピット」まで運ばれる。
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◎焼却灰の移動も100%自動ではなく一部は作業員が手動で取り扱う場合もあり、作業員が被曝するリスクがある。

5、システム全体を「中央制御室」で運転・監視している。
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◎排気は法律で定められた基準レベルを守るようシステムで監視しているが、煙突から大気中に出る排気を直接測定しているのではない。また現状では放射性物質の監視は行っておらず、環境への放射性物質の漏れをモニタする機能が無いため、作業員及び周辺住民が被曝するリスクがある。 。

6、「灰ピット」に集められた焼却灰はクレーンで搬出車両に積み込まれる。
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◎「灰ピット」も「ゴミピット」同様に周りの環境と遮蔽されておらず、焼却灰の搬出口で大気と繋がっており、作業員及び周辺住民が被曝するリスクがある。

【一般廃棄物処分場のトラブル事例】

●この焼却灰は、最終処分場で埋立てられることになるため、愛知県の埋立て最終処分場である「衣浦港3号地廃棄物最終処分場」を見学してきた。
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愛知県内の一般廃棄物処理場や産業廃棄物処理場から出たゴミの多くは、最終的にはこの最終処分場に埋立てられることになる。ここに放射性物質で汚染された焼却灰や廃棄物を埋立てて本当に問題がないか、実際にこの目で確認して分ったことは以下の通り。

・安定型区域(不燃物、主に産廃用)は海とツーカーのため、有害物質を含むゴミは受入不可(「受入基準」により規制)。

・管理型区域(主に汚泥や焼却灰用)では、廃棄物に含まれる有害物質を浸出液処理施設で浄化処理して海に排水する仕組み。ダイオキシンや水銀などの浄化処理は可能だが、放射性物質の浄化機能はなし。管理型区域は海に汚染水が漏れないよう、二重に遮蔽シートを敷設しているが、遮蔽シートの寿命は不明とのこと(誰が考えても300年はもたないと思う)。

両区域共に埋立てが終了した後、6~7年間以上は土壌や排水の環境汚染モニタを継続し、環境への影響がなくなった時点で工場用地や緑地として再利用する予定。

この最終処分場で放射能汚染された瓦礫や焼却灰の処理が可能か質問したところ、説明してくれた職員の方は「セシウムは水に溶ける性質があるので、このような海に埋立てる処分場では不可能、処分出来るとすると陸の最終処分場ではないか」との回答。

●ならばと、「衣浦港3号地廃棄物最終処分場」に引き続き、名古屋市の最終処分場である「名古屋市愛岐処分場」を見学してきた。

総敷地面積:109ha(ナゴヤドームの約22.6倍)
埋立面積:25ha(ナゴヤドームの約5.2倍)
埋立容量:444万m3(ナゴヤドームの約3.5倍)
埋立期間:昭和57年7月から埋立が完了するまで
主な施設:汚水対策施設、雨水排水施設、ガス抜き施設、廃棄物貯留ダム、小規模破砕施設、管理施設
建設費:約130億円(当初94億円、増量(一回目)32億円、増量(2回目)4億円、用地取得費含む)
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名古屋市内の焼却灰や不燃ゴミの多くは、最終的にはこの最終処分場に埋立てられることになるので、ここに放射性物質で汚染された焼却灰や廃棄物を埋立てても、本当に問題がないのだろうか。 (衣浦港3号地廃棄物最終処分場の担当者は、海洋型の処分場では受入不可能なため、もし受け入れるとすれば陸上型の最終処分場ではないか、とコメントしていた)

実際にこの目で確認して分ったことは、愛岐処分場では放射能汚染された廃棄物の受け入れは99%不可能、その理由は以下の通り。

・愛岐処分場の「浸出水処理施設」では、放射能汚染は除去できないので排水処理が出来なくなる。(≒処分場が使用できなくなる)
・愛岐処分場の利用については多治見市と協定を交わしており、そのような環境に大きく影響がある受け入れを名古屋市の判断だけでは決定出来ない。
・名古屋市では、愛岐処分場のような広大な最終処分場を建設することは困難で今も延命措置中のため、処分場が使用不可となるリスクのある廃棄物を受け入れる余裕は無い。
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見学の対応をしてくれた職員(所長)から「受け入れ不可能」との明言はなかったものの、「浸出水処理施設で放射能汚染の除去は不可能」とのコメントは重要な情報。

一方、「被災地の瓦礫はどうすれば処理できるか、専門家の目から何か良い方法はないか」との質問に対しては、「(安全ではないものを安全と見なすように)国の基準を変えるしかない」との回答(オイオイ)。つまり、「放射能汚染された水を排出する」か「侵出水を排出しない」のどちらかしか選択肢がないので、「基準を変えて汚染水を排出するしかない」と言いたかったのだろう。

その排水は川や土壌を汚染するので、上水道や農業用水を汚染して二次汚染が発生する。地理的に、愛岐処分場から汚染が漏れたら真っ先に影響を受けるのは庄内川(=土岐川)か。ということは、上水道は大丈夫だけど農業用水がアウト。

愛知県は、幸い土壌がほとんど汚染されていないのに農産物の二次汚染が心配だ。

結局、設備や対策には何も手を付けずに「現行基準では安全ではないものを基準の変更で安全と思わせるしか方法がない」これが関係者の本音なのだろう、まさに環境省が進めていることと合致する。技術的に何も変わっていないのに、昨日まで安全では無かったものが、基準を変えた瞬間に安全になる、んなわけないのに。

【浸出水が流出した事故の事例】

以上が一般廃棄物処理場を見学して気づいた問題点だが、いずれの処分場でも作業員はマスクもせずにゴミや焼却灰と同じ空気を吸っており、このまま一般廃棄物処理場で放射能汚染された災害廃棄物を処理すれば、少なくとも作業員の被曝は間違いなしと思われる。

【12/10:追記】
配布用のチラシを作成しました。
◆家庭ゴミの処理場で放射能汚染された瓦礫を処理するとどうなる(まとめ)


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by azarashi_salad | 2011-12-06 11:08 | 健康 <:/p>

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