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♪よく計算してみよう

●<友近参院議員>大学時代の年金未納判明「サッカー没頭で」(9月24日21時7分配信 毎日新聞)
 今年7月の参院選愛媛選挙区で初当選した無所属の友近聡朗議員(32)が、早稲田大学在学中の95年4月から民間会社に就職する直前の01年8月までの6年5カ月間、国民年金保険料を納めていなかったことが24日、分かった。大学卒業後1年4カ月、ドイツにサッカー留学していた友近議員は「サッカーに没頭していて年金制度に対してまったく認識がなかったことを深く反省している」と話している。
 社会保険庁に今月21日、年金加入記録を問い合わせ、未納が判明した。友近議員は「認識不足で年金未納期間があったことについて、国民、県民の皆様に心よりおわび申し上げます」と陳謝している。【加藤小夜】

○「サッカーに没頭していて年金制度に対してまったく認識がなかった」という言い訳を聞かされると、つい「それは仕方ないよね」と思いがちだが、よく計算してみると何かおかしくないだろうか。

 記事では「早稲田大学在学中の95年4月から民間会社に就職する直前の01年8月までの6年5カ月間、国民年金保険料を納めていなかった」とあるので、就職したと思われる01年9月にきちんと手続きさえしていれば、99年9月から01年8月までの2年分は遡って追納できたはず。
(つまり未納分は4年5ヶ月に減っていたはず)

 学生時代のことまでとやかくいう気はないが、政治家を目指すような人間ならば、少なくとも社会人になった時点で自分の年金未納分くらい自覚していて当然ではないだろうか。
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by azarashi_salad | 2007-09-25 00:34 | 政治 <:/p>

♪探すなと言われると余計に探したくなるものだが

●若槻千夏、mixiは「捜さないでください」(9月24日16時28分配信 オリコン)
 タレントの若槻千夏が23日(日)、自身の公式ブログでSNSの『mixi』を始めたことを明かしたが、「完全プライベートなんで捜さないでください」とお願いの一文も記し、自身の好きなことを書きたい場として確保したい意向を示した。ただ自身の本名で立ち上げたようなことをにおわす一文を明記したため、たまたま若槻の本名と同名で展開しているmixiユーザーへのアクセスが集中したことも懸念され、翌24日(月)には同ブログで、「mixiで急に足跡増えたりした方ごめんなさい」と謝罪した。
 今後、公式ブログはmixiと掛け持ちで継続していくが、「blogは1日アクセスが150万アクセスに対し、mixiは一日足跡が3人(笑)」だそうで、「mixiの方が断然面白いんですけどね。世の中うまくいかないものです」と少し寂びそうなコメントが。
 若槻は24日のブログに「正直にいろんな出来事を書きたいので、それが時にはいろんな方に迷惑を掛ける場合がある事を知ります」と記していることから、1日に150万アクセスもあり影響力の大きいブログで書けない内容も、まだアクセスが少ないmixiで正直な気持ちを綴りたいようだ。

○普通、探すなと言われると余計に探したくなるものだが、笑。

 彼女を始め、芸能人のブログはほとんど見ることがないのだが、それにしても1日に150万アクセスとは凄い数字。
 先ほど覗いてみたら、一つのエントリーに500以上もコメントが付いており、あれではレスどころか全て読むだけでもキツイだろう。

 それにしても、仕事とはいえ正直にいろんなことを書けないブログもつまらないだろうから、本名でmixiするくらいなら匿名で別ブログでも立ち上げればいいと思うのだが。
 誰だか知らずに、純粋に文章だけ読んで反応してくれるコメントの方が、千倍の価値があるかも。

【9/26:追記】
 このエントリーを書いたときは一人だけだった「マイミク」さんが、先ほどみたら18人に増えてました、笑。
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by azarashi_salad | 2007-09-24 23:42 | 無駄話 <:/p>

▼これもある意味「ゲーム脳」か

●ヤマト運輸でサービス残業 是正勧告(9月23日14時7分配信 産経新聞)
 宅配便大手の「ヤマト運輸」(本社・東京)が、大阪市内の2カ所の集配センターでドライバーにサービス残業(賃金未払い残業)をさせていたとして、大阪南労働基準監督署から労働基準法違反で是正勧告を受けていたことが23日、分かった。
 ヤマト運輸によると、ドライバーの勤務は専用の携帯端末の電源を入れると出勤、切ると退勤がそれぞれ記録される仕組みになっている。大阪市内の2カ所の集配センターは今年、同労基署から立ち入り調査を受け、ドライバーが端末起動前に荷物を入れたり、電源を切った後に後かたづけなどをしていたため、是正勧告を受けた。改善報告書を提出するよう求められている。
 同社は報告書を出した後、労基署の指示に従って未払い賃金を計算、支払うとしている。
 ヤマト運輸広報課では「是正勧告を受けたのは事実だが、詳しい時期はいえない。従業員がタイムスケジュール通りに業務を行わなかったためで、意図的にサービス残業をさせたのではない。2カ所の集配センター以外ではこうした事実はない」としている。

「従業員がタイムスケジュール通りに業務を行わなかったため」って、バカじゃないか。法律と現場を知らないにも程がある。
 こういうのも「ゲーム脳」と言っていいのだろうか、笑。

 労働基準法には、スケジュール通りに仕事が進まなかったら「サービス残業」させていいなどとはどこにも書かれておらず、実際に働いていたのであれば、正当な賃金を支払っていない会社側は「給料泥棒」と言われても仕方がない。

 もし、従業員がサボっていたため本来しなくていい残業が発生した、と会社側が主張したいのであれば、職務怠慢などの理由で当事者を減給処分にすればいいだけのこと。
 いずれにしても、違法行為である「サービス残業」を行っていた「言い訳」にはほど遠い。

○また、現実の社会では常に周りや相手の事情などに左右されるのが当たり前で、いつも事前に立てたスケジュール通りに物事が進むわけがない

 例えば、運送の現場では周りの交通事情や配達先の都合などで、当初予定していたスケジュールが遅れることもあるだろうが、それらを全て従業員のせいにされてはたまったもんじゃない。

 こうした不確定な要素によるツケを現場の従業員に押しつけるとは、この会社の経営陣は一体どういうセンスをしているのだろうか。

○前回の北見市の件でも触れたが、この件に関するネットの意見を見ても、日本社会は「サービス残業」が「違法行為(=犯罪)」であると言うことについての認識が甘すぎると思う。

 これは、なにも経営側だけじゃなくて労働者側にも言えることだ。
 そもそも「サービス残業」という呼び方がよくない。

 コンビニでお金を払わずに物を取ったら「万引き」だし、レストランで物を食べてお金を払わなければ「無銭飲食」、乗り物に乗ってお金を払わなければ「無賃乗車」になるのに、どうして人を働かせてお金を払わない時だけ「サービス」と呼ぶのか。

 というわけで、以降は「サービス残業」じゃなくて「ただ働き」と呼ぶこととするが、「そのくらい普通」、「うちでもある」などと容認しているうちは、いつまで経っても「ただ働き」は無くならない。

 本気で「ただ働き」を無くしたいのであれば、労働組合に相談したり(一人でも加入できる労働組合もある)、自分たちで労働組合を結成して経営者と団体交渉するなど、まずは自らが動くことが必要だ。
(そうすることによって「ただ働き」を解消させた例はいくらでもある)

○福岡の事件以来、マスコミ各社は「飲酒運転を許すな」との一斉キャンペーンを行っていたが、「ただ働き」も、場合によっては命を落とす危険すらある「違法行為(=犯罪)」である。

 下の記事にもあるとおり、企業では従業員の違法行為に対して厳罰化の動きが進む中、「偽装派遣」や「ただ働き」などの経営陣の違法行為に対しては、そもそも法律自体が甘い(罰則規定がないなど)こともあってか処分も甘いのが現状だ。

 だからこそ、私たち一人一人が行動を起こすことにより、もっと日本社会全体に「(違法行為である)ただ働きを許すな」という世論を高めていく必要があると思う。

●<懲戒処分>酒酔い運転は厳罰化、不倫は「?」 企業調査(9月22日15時6分配信 毎日新聞)
 酒酔い運転は厳罰、部下との不倫での処分は判断に迷う――。企業のコンプライアンス(法令順守)に厳しい目が向けられる中、企業の懲戒処分の実態調査でこんな傾向が浮かび上がった。
  【中略】
 同研究所では「酒酔い運転や情報漏えいなど社会問題化しているケースは重い処分になっている。社会が多様化する中で、企業がどの程度の処分が適当か判断に迷う場面も増えているのではないか」と分析している。

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by azarashi_salad | 2007-09-24 08:43 | 社会 <:/p>

♪なんだ、心配して損した

●安倍スキャンダルは本物――自民党崩壊の地響き(9/15:ブログ時評)
 安倍首相の唐突な政権放棄の日に、毎日新聞の夕刊などで講談社「週刊現代」がスキャンダルを追いかけていて安倍事務所に取材事実の真偽を質す依頼書が届けられていたと報じられました。今日15日、その「週刊現代」が発売になり、ネット上では雑誌紙面をスキャンした画像まで出ています。当然、著作権法違反なのですが、事が事なので、ここでは全文を読みたい人のために阿修羅掲示板の「本誌が追い詰めた安倍晋三首相『相続税3億円脱税』疑惑」を紹介しておきます。

○安倍総理の辞意表明については、ストレスによる心の病かなあ、などと多少は気の毒にも思っていたので、このブログではこれまでこの話題について取り上げてこなかったが、なんだか心配して損したような気分。

 というのも、ブログ時評さんのエントリーで知ったのだが、ここにきて安倍総理が唐突に辞意表明した本当の理由として「脱税疑惑」が持ち上がっているからだ。

 これについて、ブログ時評さんは「記事を読めば本物の疑惑であり、政権放棄しなくて安倍首相が国会論戦に臨んでいても、来週には政権を投げ出す結果になっていたでしょう。」と解説している。

 さらに、「たとえ総裁選が盛り上がったとしても、この安倍スキャンダルを隠すことは出来ません。ほかの2世議員にも同種の疑惑が無いのかも追及されるでしょう。」と、世襲議員同士の対決の様相を見せている自民党総裁選の暗雲を予測している。

○その記事というのが、昨日(9/15)発売された「週刊現代9月29日号」の記事で、タイトルは「本誌が追い詰めた安倍晋三「相続税3億円脱税」疑惑」
(ブログ時評さんのエントリーには記事本文が読めるリンクまである)

 今のところ、この件については週刊現代に書かれている内容が真実かどうか分からないが、当初は毎日新聞でも報じられていたのに、この件に関するネット記事がものすごい勢いで消されているとの噂もあるので、時事ドットコム赤旗に掲載されていた関連記事を紹介しておく。

●「脱税疑惑」全くの誤り=週刊誌取材に安倍首相事務所(9/13:時事ドットコム)
 辞任表明した安倍晋三首相について、講談社の週刊誌「週刊現代」編集部は12日、「脱税疑惑」があるとして、首相側に取材を申し入れていたと明らかにした。一方、安倍首相の事務所は「全くの誤り」と反論し、同社に記事を掲載しないよう「警告」する文書を出した。
 同誌は「数カ月取材してきた『安倍首相の相続税3億円脱税疑惑』を報じることが、政界で話題になっていることは聞いている」などとコメントした。記事は15日発売号に掲載するという。
 安倍事務所によると、父の故晋太郎氏が個人資産を政治団体に寄付し、相続税の支払いを免れたのではないかとの内容の質問が週刊現代からあった。
 同事務所は、収支報告書には「第3者からの寄付を故晋太郎名義で記載しているにすぎない」と、全面的に否定している。

●安倍首相 政治団体が預金3億円 資金団体と会計責任者同じ(9/15:赤旗)
 安倍晋三首相の政治団体「東京政経研究会」が巨額の預金を保有していることが、十五日付官報で公表された二〇〇六年の政治資金収支報告書でわかりました。
 東京政経研究会は、安倍首相の資金管理団体「晋和会」と同じ場所にあり、会計責任者も同一人物。〇六年収支報告書によると、みずほ銀行に三億二十三万四千九百八円の預金があります。
 同研究会の収支報告書をさかのぼると一九九七年十一月十七日に「緑晋会」から名称を変更。緑晋会の設立は七九年で、父親の故安倍晋太郎元外相の政治団体を安倍首相が引き継ぎました。
 安倍首相が初当選した九三年の収支報告書では、すでに約五億円の預金があります。この巨額の資産がどこから入ってきたのかは、当時の収支報告書官報からはわかりません。
 名称変更した時点でも四億円以上の預金を保有。その後三億七千万―三億八千万円で推移し、〇四年から約三億円に減っています。
 安倍首相の政治団体の保有預金をめぐっては、初当選翌年に朝日新聞(九四年九月九日付)で、父親の政治団体を引き継ぎ、預金約六億九千万円を継承したと指摘されました。辞任直前にも政治団体の預金について、講談社の『週刊現代』編集部が、「脱税疑惑」があるとして、首相側に取材を申し入れていたことを明らかにしています。

○一応、時事ドットコムの記事では、安倍事務所に対して週刊現代から「父の故晋太郎氏が個人資産を政治団体に寄付し、相続税の支払いを免れたのではないか」との内容の質問があったという事実と、それに対して同事務所が「第3者からの寄付を故晋太郎名義で記載しているにすぎない」と、全面的に否定していることのみを報じている。

 一方、赤旗の記事では、2006年の政治資金収支報告書によって、安倍総理の政治団体が多額の預金を保有していることが判明したという事実と、安倍氏が初当選した93年の収支報告書ですでに約5億円の預金があったという事実を報じているものの、「この巨額の資産がどこから入ってきたのかは、当時の収支報告書官報からはわかりません」と疑問を投げかけている。

 今のところ、安倍事務所から週刊現代側に対して質問に対する正式な回答はないようだが、何らやましいことがなければ、国民に対してきちんと説明すればいいだけのこと。

 安倍総理は、内閣改造後の記者会見で「閣僚は何か(問題を)指摘されれば、説明しなければならない。十分な説明ができなければ、(内閣から)去っていただく覚悟で閣僚になっていただいている」と語っていただけに、十分な説明ができないと自ら判断したのであれば、唐突な辞意表明についても分からなくもない。

●説明不十分な閣僚は去ってもらう…内閣改造で首相会見
 安倍首相は27日夜、首相官邸で記者会見し、閣僚の政治とカネを巡る不祥事に関し、「閣僚は何か(問題を)指摘されれば、説明しなければならない。十分な説明ができなければ、(内閣から)去っていただく覚悟で閣僚になっていただいている」と述べ、厳しく対処する考えを示した。

○というわけで、仮に総理の座を降りたとしても国会議員である安倍氏には、一刻も早く元気になって国民に対して十分な説明をしてくれることを期待しているが、もしこの「脱税疑惑」が事実だとすれば、本来国に納めるべき税金を掠め取っていたことになる。

 そして、ミスではなくて知っててやったのであれば、納められた税金を掠め取る行為も、納める前に税金を掠め取る行為も、どちらも同じ「税金泥棒」になるのではないだろうか。

 もちろん、仮に事実だとしてもすでに時効なのだろうが、年金横領問題に関しての舛添厚生労働大臣の発言は「きちんと牢屋(ろうや)に入ってもらいます。今からでも刑事告発してやろうかと思って」とのことなので、こちらは是非そうはならないよう願っておく。

○なお、日経BPネットに掲載されている立花隆氏の連載コラム「メディア ソシオ-ポリティクス」でも(週刊現代が暴いた“安倍スキャンダル”の全容)という記事で、安倍総理側と報道機関側とのやりとりが詳しく紹介されているので、興味のある方はこちらもどうぞ。
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by azarashi_salad | 2007-09-16 08:49 | 政治 <:/p>

△「ただ働き」大流行の予感

●浄水場全職員が314万円寄付 北見市断水 時間外を返納(09/12 08:05)
 【北見】北見市の大規模断水に伴い市職員らに合計一億円を超す時間外手当が支給され、市民の批判を浴びている問題で、水道事業を担当する企業局浄水場の場長を含む全職員八人が十一日、計三百十四万円を市に寄付した。同手当を受け取った一般職員が返納に応じた初のケースで、同市では他部局にも「返納に応じざるを得ない」との空気が広がってきた。
 断水をめぐり市職員に支給された時間外手当は、六、七月の二カ月分で総額約八千五百万円。また、給水活動などに携わった北見地区消防組合職員の時間外手当も千五百八十九万円に上る。
 断水では、管理職の浄水場長には時間外手当は支給されていないが、一般職七人には六、七月の二カ月分で計約八百三十万円が支給され、一人当たりの最高額は約百四十六万円に上った。企業局によると「(場長を含めた職員らが話し合い)断水対策経費に役立ててほしい」と寄付の形で返納の申し出があったという。
 六月の断水については、専門家による市長の諮問機関が浄水場の対応ミスが原因と答申。今回、その当事者が手当を返納したことで、ある幹部は「全庁的に返納に応じざるを得ない」との見方を示している。
 手当の自主返納については、神田市長が十日の部長会議で要請し、各部局で検討。一方、手当の支給対象ではない市特別職七人が計百五万円、企業局の管理職十四人が計五十万円をそれぞれ市に寄付している。

○前回のエントリー(▲問題は手当じゃなくて時間だろう!)で取り上げた北見市企業局浄水場の場長を含む全職員が、8人で計314万円の時間外手当を返納したそうだ。

 そもそも、月400時間の残業という行為自体が異常なのだが、この件の報道を見る限りでは、市の幹部も与野党議員も記者も市民も、みんな手当さえ支払わなければ、こうした残業をさせても構わないと考えているところが、私には恐ろしく思えてならない。

 実際に、自分が月400時間の残業を命じられたら、さらにその手当を返納しろと批判されたらどう思うか、想像力が無いにも程がある。
 そもそも、本当に月400時間もの残業をさせる必要があったかどうかの検証もないまま、手当の額にのみ注目して返納を煽る方々は、人として何か大事なものを見失っていないだろうか。

○これについて、M・Focusさんのブログ記事こんな視野の狭い記事を紙面に載せる記者とデスクは職を辞してはいかがでしょう。では以下の通り指摘しているが、私も全く同感である。
 執筆した記者と、原稿を見たデスクは、月394時間の時間外勤務という非常識さに、まったく問題意識を持っていない。あなたたちは、月に約400時間余計に働くって変だと思わないか?
 頼むから記者ならここに気付けよ!400時間ってのは過労死の危険水域を軽々と超えているんだぜ。
 自主返納よりも、下手をすると職員が倒れたり死んだりするような無茶苦茶な働かせ方をさせた管理職や市そのものの杜撰さが重大だろう。そこをスルーして「残業代返せ!」と指弾する資格が、あなたたちにはあるのか?
 カラ出勤ならまだしも、超長時間を実働した人間に「残業代を全部返しなさい」というのが、もしかして「規範意識」なのか?
 それってかなり人を馬鹿にしているように僕は思う。金額に気を取られ義憤に駆られている市民も、冷静になってほしい。「ただ働きするのが当然」と他人に言われたら、どんな気持ちになるというのか。

○もちろん、こうした非常時だから浄水場には、組織として「24時間休みなし」の体制が求められていたのかも知れないが、管理者に求められる役割は、部下の健康に配慮しながら組織に与えられた仕事を適切にこなすこと。
 だから、そのために他部署からの応援を求めたり、自ら現場に入って交代制で対応するなど、マネジメントしなければならない

 そして、上の記事に書かれているとおり浄水場長を含めて8人もの職員がいるのであれば、そうした対応は十分可能だったと思える。
 にもかかわらず、そんな当たり前のことができなかった管理者の責任は重大と言わざるを得ない。

 月400時間の残業が事実だとしたら限りなく「拷問」に近いし、もしこれが偽りなら「手当の水増し請求」ということで、いずれにしても市長以下の管理職は管理者としての資質に欠けることが明らか。したがって、彼らの管理責任こそ追及されるべき問題だと思う。

○一方、毎日新聞北海道支社の記者ブログでも時間外手当てが113万円!とのエントリー内で「毎日4時間しか寝ないで31日間、休みもなく働かされる。こんなことをされたら、いくら体力自慢でも2週間もしないうちに頭が朦朧とし、正常な判断ができなくなるだろう。なぜ、疲れていたら午前中は睡眠をとらせるとか、代わりを用意して時々、早く帰宅させるとか、できなかったのだろう。これは時間外手当の問題というより、このような勤務を強いた上司の責任問題ではないだろうか。」と指摘しているが、そのとおり。

 だったら、どうして下のような記事になるのか、私にはまるで理解できない。

●北海道・北見の断水:時間外手当 特別職ら155万円寄付 市長「自主返納」要請考え
 北見市の大規模断水に伴い市職員に総額8468万円の時間外手当が支給された問題で、神田孝次市長が10日、職員に自主返納を求める考えを示したことが分かった。川崎英勝副市長ら特別職7人が同日、15万円ずつ計105万円、水道行政を担当する企業局の管理職14人も計50万円を寄付しており、返納に拍車がかかりそうだ。
 時間外手当は8月、延べ1398人に6、7月分が支給された。このうち、同局職員3人には100万円以上が支給され、最高額は112万9000円に上った。市民の間から「生活に大きな損害や影響が出たのに、職員に満額の手当を払うのは納得できない」と批判が噴出。神田市長は同日の部長会議で「良識ある判断に基づき手当の一部を自主返納するよう希望する」という趣旨の発言をしたという。
 特別職7人は寄付の目的として、「断水対策に要した経費の一部として役立ててほしい」としている。神田市長は公職選挙法で寄付を禁止されているため、減給処分を受ける見通し。【高橋正博】毎日新聞 2007年9月11日 北海道朝刊

○この記事では、月394時間という非常識な残業時間や「このような勤務を強いた上司の責任問題」という部分に全く触れられておらず、まるで率先して返納した管理職たちを評価しているようにすら読めるのだが、彼らの責任問題は一体どこへ消えてしまったのだろうか。

●厚労相 残業代ゼロ法案を「家庭だんらん法案」に(9月12日10時22分配信 毎日新聞)
 舛添要一厚生労働相は11日、同省が法案化を見送った、一部事務職の残業代をなくす「ホワイトカラー・エグゼンプション」について、「家庭だんらん法案と書け、と(事務方に)言った」と述べ、同制度導入に向けた検討を続ける考えを示した。同相は「残業代が出なかったら早く帰宅する動機付けになる」と強調し、「横文字を使うからマスコミに残業代ゼロ法案と書かれ、一発で終わり。『パパ早く帰ろう法案』とか『バカな課長の下で仕事するのはやめよう法案』という名なら通る」などと語った。
 ネーミングの変更で国民に与えるイメージも変えてしまおう、との論法だが、野党側はさっそく反発している。舛添氏の発言について子育て問題に詳しい民主党の蓮舫参院議員は「カタカナ言葉を使う安倍首相が不評だからこんな言葉にしたのだろう。舛添さんは永田町言葉を使わないので斬新で親近感はわくが、斬新さに見合う行動をとっているのか。名前と内容が本当に見合う法案を考えるべきだ」と述べ、批判した。

○折しも、法案化を見送った一部事務職の残業代をなくす「ホワイトカラー・エグゼンプション」について、舛添厚生労働相が『バカな課長の下で仕事するのはやめよう法案』という名なら通る」と語ったそうだが、今回の北見市の例などは、まさにバカな管理職のために非常識な残業をさせられ、おまけに手当まで返納させられたいい例である。

 こうした非常識な残業を野放しにしたまま、「ただ働き」を容認するような世論を煽られては、まともに働いている多くのサラリーマンにとってもいい迷惑。

 したがって、法案を作るなら野放しとなっている「ただ働き」(=違法行為)を無くすためにも、まずは使用者(管理者)が命令できる残業時間に上限規制(厚生労働省は月80時間を過労死ラインとしている)を設けることが先だろう。
 その上で、上限を超えるような残業を命令した使用者(管理者)には、厳格な罰則規定を設ければよいだけのこと。

 例えば、おかにゃんさんがブログ●家族団らんを増やすなら,逆に「サービス残業禁止法」では(2007年09月12日 01時29分35秒 / 政治・選挙)で述べているような、現行労働基準法の罰則を更に強化した「サービス残業禁止法」をなんてのも一つの方法だろう。
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by azarashi_salad | 2007-09-15 09:50 | 社会 <:/p>

▲問題は手当じゃなくて時間だろう!

●<時間外手当>断水の北見市、水道担当職員に100万円(9月8日3時9分配信 毎日新聞)
 北見市で相次いだ大規模断水に伴い、3回の取水停止が繰り返された7月に、水道行政を担当する企業局職員3人にそれぞれ100万円以上の時間外手当が支給され、最高額は112万9000円に上っていたことが分かった。月額が100万円を超えるのは異例。同市には7日だけで40~50件の非難電話やメールが相次いだ。

○いかに「人災」であったとしても、実際に働いたにもかかわらず手当てを支給しなければ明らかに「違法行為」
 「ただ働き」を推奨するような論調には違和感があるが、それよりも、時間外手当が月額100万円を超えるような残業をさせること自体が異常だとは誰も思わないのだろうか。

 もしこれが事実なら、こうした異常な残業を命令する管理職は明らかに勤務時間管理能力及び健康管理能力が欠如しているので、死者が出る前に一刻も早く全員更迭すべきである。

 下の北海道新聞記事に詳細が載っていたので、これを元に、実際に100万円以上の残業手当が支給されていた職員の勤務時間について検証してみよう。

●北見市断水 職員に高額時間外手当 市民から強い批判(09/07 07:03)
 【北見】「市役所のミスが招いた災害なのに、納得できない」-。北見市で六、七月に相次いだ大規模断水に伴い、市職員の時間外勤務手当が二カ月間で総額約八千五百万円に上った問題で、市民や市議会から強い批判が上がっている。財政難に悩む北見市は本年度から財政健全化計画を進めており、「百万円以上もの手当を受けた職員には自主返納を求めるべきだ」との声もある。
 「命がけの職員もいただろうが、これでは市民の信頼を失ってしまう」。五日に開かれた市議会断水問題調査特別委。与野党の議員からは、専門家による原因技術調査委員会が「断水は人的ミス」と指摘したにもかかわらず、巨額の時間外手当を支給したことに厳しい意見が相次いだ。
 北見市職員給与条例は他の道内自治体と同様に、係長以下の一般職員に支払う時間外勤務手当について、通常の勤務時間を超えた分をすべて支払うと規定している。断水時、時間外が最も多い職員で六月は百二十時間、七月は三百九十四時間に達した。三百九十四時間の内訳は、土日・祝日の出勤分(十日間)が計百八十二時間、平日(二十一日分)の残業時間が計二百十二時間で、すべて実働時間だという。
 手当最高額は六月分三十六万円、七月は百十二万円。七月に百万円以上支給された職員は三人で、いずれも浄水場の職員だった。渡部真一・北見市総務部次長(職員監)は「規定されている以上、支払う以外の選択はないが、非常時の支給については再考の余地がある」と話す。
 阪神大震災の際、仮設住宅担当の職員一人に年間六百四十万円(月約五十万円)の時間外手当を支払い、議論を呼んだ兵庫県宝塚市は「労働基準法上、時間外は支払う必要がある」(担当者)とするものの、「うちでも月の時間外が百万円を超す職員は皆無だった。信じられない」という。
 断水時、独居老人宅に飲み水を届けるなどした北見市内の町内会長は「ボランティアで頑張った人も多いのに、職員だけ優遇するのは納得できない」。数日間の休業を強いられた飲食店主は「市職員が焼け太りのように多額の手当を得るのは市民感覚として許せない。賞与の一部を返納する社会保険庁職員のような対応を取るべきだ」と怒る。
 酪農学園大の河合博司教授(地方自治)は「働いた分の給与が支給されるのは当然」としながらも、「最終的な責任は職員ではなく市長にある。市長の責任を明確にした上で議論すべきだった」と話している。

○記事によると、最も残業が多かった職員の7月の残業時間は394時間で、その内訳は、土日・祝日(10日分)が計182時間、平日(21日分)が計212時間。

 まず、平日の残業時間は1日平均約10時間なので、所定の労働時間を8時間とすると毎日18時間以上働いたということになる。
 さらに、労働基準法では労働時間が8時間を超える場合には、最低でも1時間の休憩時間(無給)を与えなければならないと定めているため、実労働時間(拘束時間)は19時間以上。
 これに通勤時間や風呂、着替えなどの生活する上で最低限必要な時間を加味すると、この職員の平均睡眠時間は確実に4時間未満と思われる。

 さらに、7月の土日・祝日は10日しかないので、この残業時間が計182時間ということは、休日も平日と同じく18時間労働、拘束19時間、睡眠時間4時間未満で働いたということ。

 つまり、北見市の説明が事実だとすると、この職員は「7月は一日たりとも休まずに連日睡眠時間4時間未満で働きっぱなし」だったということになる。

 この「拷問」のような労働時間自体が非人間的で私には到底信じられないが、北見市は「非常時だから職員の一人や二人死んでも構わない」と判断したということだろうか。

 この職員の身に何かあった場合は確実に労災(公務災害)が適用されると思うが、取材をした北海道新聞記者や取材に応じた北見市総務部次長(職員監)、手当を返還しろとコメントしている北見市の与野党議員や市民たちは、誰も残業時間そのものが異常だとは思わないのだろうか。(何か人として大事なものを見失っているような気がする)

○それでも、もしかしてここには数名の職員しかおらず、やむを得ない非常措置だったのかも知れないと思って北見市企業局の組織形態を調べてみたら、なんと局長・次長以下、5課1室1センターの組織で10名の管理職(課長級以上)と26名の一般職員、合わせて36名以上の職員がいると思われる。(職員数は組織図からの推測)

●北見市企業局(組織図)

 これだけの規模の職場において、特定の職員に月400時間近くもの残業を命令すること自体、如何にこの企業局の管理職が管理能力に欠けるか、誰でも容易に理解できるはず。

 というわけで、北海道新聞には「百万円以上もの手当を受けた職員には自主返納を求めるべきだ」などという「ただ働き」を煽るような記事ではなく、ぜひとも「過労死」を推し進めるかのような残業時間にメスを入れて、「真実」を明らかにしていただきたいものである。

【追記】
 コメントに回答していて思いついたのだが、そもそもこのような異常とも思える残業を命令した管理職は、職員の勤務時間管理能力にも健康管理能力にも欠ける不適格な管理者といえるので、市長以下、不適格な管理者全員の給与や賞与を能力に見合った額に減額し、職員に支払った時間外手当の穴埋めをするというのはどうだろう。

 そうすれば、怒っている市民たちも納得すると思うのだが、道新さん「・・・・との声もある」という風にぜひともご紹介を、笑。

【9/9:追記】
 またまたコメントに回答していて思いついたのだが、この残業時間が事実だとすると「何の策も講じずに担当者に丸投げ」ということで、上司は確実に管理者として失格だし、もし残業手当の「水増し請求」だったとしたら、それを見抜けなかった上司全員(市長も含む)も管理者として失格といえる。
 いずれにしても、市長以下の管理職は管理者としての資質に欠けることがはっきりしたので、まずは彼らの管理責任を追及すべきだろう。

 ちなみに、担当職員(部下)に400時間もの残業を命令している時に管理者たち(上司)が何をしていたのか、市長以下幹部職員(関係する上司)全員の勤務実績を情報開示請求してみてはどうだろうか。
 まさか休暇を取ってゴルフなんてことはないと信じたいが。

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by azarashi_salad | 2007-09-08 09:05 | 社会 <:/p>

▽だったら「厚生年金補償特例法案」は見直さなければだめだろう

●厚労相「盗っ人は最後の一人まで」…年金着服で徹底調査へ(9月6日21時19分配信 読売新聞)
 舛添厚生労働相は6日、総務省内で増田総務相と会談し、市区町村の職員による年金保険料の着服について、社会保険庁が行う追加調査への協力を要請した。
 追加調査は、すべての市区町村が対象で、<1>処分の有無とその内容<2>告発の状況、告発された場合は起訴したかどうかや裁判の結果、報道状況<3>返済状況<4>公表状況――の4項目。舛添厚労相の要請を受け、総務省も市区町村に協力を求める要請書を出すことになった。
 会談で舛添厚労相は「盗っ人は最後の一人まで草の根かき分けても探し出すという思いでやって頂きたい」と要請。増田総務相は「甘い処分で済ませることが過去にあった。一刻も早く調査する」と応じた。

○先日のエントリー(▼また企業不祥事を税金で補填するのか)で、「今回の政府案に対して、厚生労働大臣としての舛添議員がどのような見解を述べるのか、非常に興味深いところである」と書いたが、ようやく舛添大臣の考え方が明らかになった。

 舛添大臣の発言は「盗っ人は最後の一人まで草の根かき分けても探し出すという思いでやって頂きたい」とのことなので、そうであれば、やはり前回の記事に書かれていた「厚生年金補償特例法案」は見直さなければだめだろう。

 ちなみに、現在政府で検討されている「厚生年金補償特例法案」とは以下のようなもの。
 与党は当初、保険料をさかのぼって徴収できる時効期間(2年間)を撤廃し、当該企業や役員から、時効を迎えた保険料でも強制徴収できる特例法案を検討していた。しかし政府内に「違憲の国家権力発動になる」との慎重論が強いことから断念。未納企業には自主的な納付を求めるにとどめ、時効を理由に拒否されたり、すでに消滅するなどして徴収できない場合は、未払い分を税でまかなうことにした。

○従業員の厚生年金保険料を着服した事業主や担当者も「盗っ人」なのだから、こちらについても安易に税金で補填なんてことで納めることなく、ぜひとも「最後の一人まで草の根かき分けても探し出すという思いでやって頂きたい」ものである。
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by azarashi_salad | 2007-09-07 07:19 | 政治 <:/p>

♪そんなに難しいことか

●遠藤農水相が辞任 後任に若林前環境相 補助金行政「農林行政傷つけた」(9月3日17時11分配信 産経新聞)
 遠藤武彦農水相(68)=衆院山形2区=は3日午前、首相官邸で安倍晋三首相と会い、自身が組合長理事を務める農業共済組合が補助金を不正受給していた問題の責任を取り、辞表を提出、受理された。安倍内閣の閣僚交代は5人目。坂本由紀子外務政務官(58)=参院静岡選挙区=も、代表を務める自民党支部の政治資金収支報告書に二重計上が指摘された問題で、辞表を提出した。遠藤氏の辞任を受け、首相は後任に若林正俊前環境相(73)=参院長野選挙区=を起用する。4日に皇居で認証式を行う。
 若林氏は、8月1日に事務所費問題で赤城徳彦農水相が辞任した後、同月27日の安倍改造内閣発足まで農水相を兼務していた。安倍首相は3日、記者団に遠藤氏の辞任についての任命責任を認めた上で、「今後、農水行政に遅滞のないよう全力を尽くすことで責任を果たしたい」と強調した。
 遠藤氏は辞表提出後、農水省で会見し、「農林行政を傷つけたこと、国民に政治に対する不信を感じさせたことを申し訳ないと思う」と謝罪。坂本氏も外務省で「政治家はクリーンでなければならない。事務所の指導などに不十分な点があり、深く責任を感じ反省している」と述べた。
 遠藤氏は不正受給問題が明らかになった1日の時点では、自らは関与していないとして辞任を否定。しかし、参院で与野党の議席数が逆転していることを踏まえ、民主党など野党は、遠藤氏が辞任しない場合は参院に問責決議案を提出する方針で足並みをそろえた。
 問責決議には、閣僚を辞任させる法的拘束力はないが、国会で責任が認定されるという重みがあり、その後は国会審議のストップが予想される。10日召集予定の臨時国会では、最大の焦点であるテロ対策特別措置法などの審議が引き延ばされる事態が懸念されていた。政府・与党内では、このままでは臨時国会は乗り切れないとの判断が強まり、安倍首相も遠藤氏の更迭に踏み切った。
 与謝野馨官房長官は3日の会見で、念入りに政治資金状況の調査を行ったにもかかわらず、閣僚の政治とカネの問題が再発したことについて「残念ながら森羅万象全部分かるわけではなく、こういうことが組閣の後見つかったことは残念だし、責任を感じなければならない」と述べた。
 与党内からは「政治とカネの問題ばかりに関心が集まると何もできない」(幹部)、「問題があってもなくても、マスコミに疑惑にされてしまう」(閣僚経験者)といった戸惑いの声も出ている。

○いや、別に「森羅万象」全部分からなくたっていいんだが。
 与党内で、「不正・違法行為を犯していない国会議員」を探すことは、そんなに難しいことか。

 官房長官がここまで言うからには、きっと難しいんだろうなあ、笑。
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by azarashi_salad | 2007-09-04 06:46 | 政治 <:/p>

▼また企業不祥事を税金で補填するのか

●<年金補償特例法案>未支給分、税で補償 企業着服の場合(8月31日3時5分配信 毎日新聞)
 政府・与党は30日、事業主に厚生年金保険料を着服され、結果的に未納となって給付を受けられずにいる人への給付を可能とする厚生年金補償特例法案の骨格を固めた。社会保険庁が事業主への追徴ができない場合、記録漏れに伴う未支給年金を税金で補てんすることが柱。記録管理面での国のミスを前提に、その補償の意味合いで税を投入する異例の法案となる。対象企業名を公表する規定も盛り込む方向で最終調整しており、9月10日開会する臨時国会に提出する。
 与党は当初、保険料をさかのぼって徴収できる時効期間(2年間)を撤廃し、当該企業や役員から、時効を迎えた保険料でも強制徴収できる特例法案を検討していた。しかし政府内に「違憲の国家権力発動になる」との慎重論が強いことから断念。未納企業には自主的な納付を求めるにとどめ、時効を理由に拒否されたり、すでに消滅するなどして徴収できない場合は、未払い分を税でまかなうことにした。
 税投入の根拠として、「福祉的な見舞金」とすることも検討したが、見舞金名目で未支給分全額を補てんするのは無理と判断。一歩踏み出して、「国が厚生年金に加入させるべき企業や社員を十分把握できていなかった」という、過失の補償的な意味合いで税負担する理論立てとした。
 総務省の「年金記録確認中央第三者委員会」はこれまで43件について、「本人は保険料を納付したのに、企業が国に納めていない」と認定しているが、「現行法での給付は困難」として政府に法整備を求めていた。特例法案は同委員会が「本人納付」を認定した人を支給対象とする。
 現行法でも、過去に厚生年金適用事業所となった企業は保険料を滞納したり、倒産したりしても社員に保険料で年金を給付できる。しかし、厚生年金の適用を免れているのに社員から保険料を徴収したり、保険料を給料から天引きしているのに一部の社員を年金制度に加入させていない場合は「企業と従業員間の民事問題」として、政府は関与してこなかった。

○現在、政府内で検討されている「厚生年金補償特例法案」では、事業主に厚生年金保険料を着服され、結果的に未納となって給付を受けられずにいる人への給付を可能とするため、税金で補てんすることを考えているという。

 その根拠として「国が厚生年金に加入させるべき企業や社員を十分把握できていなかった」との理屈を述べているが、ということは「今後は全ての企業や社員を国がしっかり管理します」と言っているのと同じこと。

 手厚い保護の裏側には、厳格な管理と厳しい罰則がセットでなければならないわけだが、先の参院選を通じて、国民の間でそうした議論が十分尽くされてきただろうか。

 もちろん、被害にあった方々に罪がないことは十分理解できるが、国が支援することが本当に公平公正な施策なのか、私としてはどうにも違和感が払拭できない。

○その理由として、一つには私企業の年金着服という特定の犯罪に限って、国が被害者を救済することが本当に公平な政策になっているか、という疑問がある。

 記事によると、政府は保険料をさかのぼって徴収できる時効期間(2年間)を撤廃し、当該企業や役員から、時効を迎えた保険料でも強制徴収できる特例法案を検討していたがそれを断念したとあるが、私は、もともと着服自体が犯罪行為なのだから、税金で負担するのではなくて当該企業や着服した本人から徴収するのが筋だと思う。

 百歩譲って、すでに加害者である企業が無くなっている場合のみ国が保障するという仕組みであったとしても、加害者に弁済能力がない犯罪被害者は他にも沢山いるわけで、今回のケースに限ってのみ国が保障するのは、いささか公平さに欠けはしないだろうか。

○二つには、誰にでも職業選択の自由があり、簡単に年金を着服できるような仕組みになっていたり、組織として支払いを拒否するような悪質な企業に勤めたのも、そうでない真っ当な企業に勤めたのも、あくまで「本人の選択の結果」であるということ。

 もちろん、社会保障制度や厚生施設がしっかりしている企業は学生たちから人気があり、だからこそ、彼らは少しでも条件がよい企業を求めて就職活動に精を出したり、学生時代から勉学に勤しむなど努力しているわけだ。

 そうした努力が、結果的に本人が勤める企業の差となって表れてくるわけだから、今回のケースについても「本人の努力不足が結果的に年金にまで影響してしまった」という見方もできなくはない。

 さらに言えば、一時的に目先のお金を得たいがために「不健全な企業」と承知の上で勤める者もいるかもしれないが、そうした者に対しても税金で補填される可能性があるわけで、リスクとリターンの関係からいっても不公平ではないだろうか。

○三つ目は、国の社会保障制度全体から見て不公平ではないかという疑問。

 今回の公的支援を、国による社会保障の一つとして見ることもできなくはないが、その場合は、他の社会保障とのバランスに配慮する必要があると思う。

 例えば、今回の法案が成立すると、本人の蓄えや親の遺産などがあって全く生活に困窮していなくても、企業が着服した部分については国により補填されるが、一方、他の犯罪被害などで現に生活に困窮している方々に対しては、生活保護以外に何ら支援はない。

 その生活保護行政においては、国の厳しい財政事情を反映してか、受給申請自体を渋る自治体が相次ぐなど社会問題化しており、そう考えると今回の救済措置は、社会保障制度全体の体系から見ても、一部の対象者にのみ手厚い保障とはいえないか。

○このように、ちょっと考えただけでもいくつもの疑問が思い浮かぶわけだが、ここまで書いてきてどうにも「既視感」があると思ったら、今回の公的支援は以前にエントリーした「耐震偽装被害者に対する公的援助」と同じ構図ということに気がついた。

●【耐震偽造問題に対する公的資金投入について考える】
 政府は公的資金(税金)を投入して「住民の引っ越しやマンション解体、撤去、建て替えなどの費用を国と地方で一定程度を補助し、住民の負担を減らす」つもりのようだ。
 もちろん、被害にあった住民の方々には何の罪もないことは重々承知しているのだが、本当に税金で支援することが正しい方策なのか、どうにも違和感が払拭できない。

○この問題の時も、いまと同じような議論をしたことを思い出したが、この問題に対して、当時の舛添議員(現厚生労働大臣)がどのような発言をしていたのか探してみたら、以下のブログ記事が見つかった。

●舛添要一の永田町奮戦ルポ 3点セット以外に重要な問題多い [2006年01月30日(月)]
 1月30日の『スポーツ報知』に「3点セット以外に重要な問題多い」という舛添要一議員の記事が載っていました。参考に載せます。
 (略)
 耐震偽装に関しては、(略)。阪神大震災でも一切公的援助がなかったのに「なぜ今回だけ」と批判もある。また、時代に逆行するような官主導の検査体制にはすべきではない。

○スポーツ報知の元記事が見つからないため、舛添氏の発言意図が正確には分からないが、この部分を読む限りにおいては「耐震偽装の被害者に公的援助することは問題がある」と主張しているようにも読める。

 もしそうであるなら、今回の政府案に対して、厚生労働大臣としての舛添議員がどのような見解を述べるのか、非常に興味深いところである。

【9/7:追記】
●厚労相「盗っ人は最後の一人まで」…年金着服で徹底調査へ(9月6日21時19分配信 読売新聞)
 舛添厚生労働相は6日、総務省内で増田総務相と会談し、市区町村の職員による年金保険料の着服について、社会保険庁が行う追加調査への協力を要請した。
 追加調査は、すべての市区町村が対象で、<1>処分の有無とその内容<2>告発の状況、告発された場合は起訴したかどうかや裁判の結果、報道状況<3>返済状況<4>公表状況――の4項目。舛添厚労相の要請を受け、総務省も市区町村に協力を求める要請書を出すことになった。
 会談で舛添厚労相は「盗っ人は最後の一人まで草の根かき分けても探し出すという思いでやって頂きたい」と要請。増田総務相は「甘い処分で済ませることが過去にあった。一刻も早く調査する」と応じた。

○舛添大臣の発言「盗っ人は最後の一人まで草の根かき分けても探し出すという思いでやって頂きたい」はそれで結構なのだが、そうであれば、前回の記事に書かれていた「厚生年金補償特例法案」は見直さなければだめだろう。
 与党は当初、保険料をさかのぼって徴収できる時効期間(2年間)を撤廃し、当該企業や役員から、時効を迎えた保険料でも強制徴収できる特例法案を検討していた。しかし政府内に「違憲の国家権力発動になる」との慎重論が強いことから断念。未納企業には自主的な納付を求めるにとどめ、時効を理由に拒否されたり、すでに消滅するなどして徴収できない場合は、未払い分を税でまかなうことにした。

○従業員の厚生年金保険料を着服した事業主や担当者も「盗っ人」なのだから、こちらについても安易に税金で補填なんてことで納めることなく、ぜひとも「最後の一人まで草の根かき分けても探し出すという思いでやって頂きたい」ものである。
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by azarashi_salad | 2007-09-01 10:01 | 政治 <:/p>