カテゴリ:政治( 155 )

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【連載企画】日本が”核のゴミ捨て場”になる日-震災がれき問題の実像-(第12回)

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(第12回:「広域処理」の必要性を検証③)

ここで広域処理の必要性について整理してみよう。2011年12月6日に環境省が公表したがれき処理計画では、岩手県の県内処理予定量は419万㌧、広域処理希望量は57万㌧、宮城県の県内処理予定量は1225万㌧、広域処理希望量は344万㌧だ。

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結局、三度の見直しによりがれき総量は、岩手県が366万㌧、宮城県が1103万㌧まで減少した。両県とも、2011年12月に公表した当初の処理計画における県内処理予定量を大きく下回る。しかし、環境省と自治体は見直しの度に県内処理予定量を減らして広域処理希望量をキープした。

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私たち住民グループは、再び要請活動に乗り出した。広域処理の問題点を整理した資料や要請文を愛知県議会議員103名全員に送り、「無意味な試験焼却を行わない」「復興予算の流用であり、税金の無駄遣いである広域処理を中止しよう」と訴えた。

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こうした住民運動が激化する中、大村知事は県が実施した「試験焼却」アンケートの調査結果を明らかにした。愛知県内全ての自治体が県に対して「NO」と回答したのだ。この時点で大村知事と県だけが孤立した。

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そして8月23日。環境省と宮城県の担当者が愛知県を訪れ「愛知県に協力を要請する状況ではないと判断した」と広域処理の要請を取り下げた。これを受けて、大村知事も震災がれきの受け入れに関し、ついに正式な中止を表明した。

(第13回につづく)

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by azarashi_salad | 2015-06-02 18:26 | 政治 | Comments(0) <:/p>

【連載企画】日本が”核のゴミ捨て場”になる日-震災がれき問題の実像- (第11回)

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(第11回:「広域処理」の必要性を検証②)

大村知事の受け入れ表明から約2ヶ月後、2012年5月になると広域処理の前提を覆す事態が起きた。がれき総量の見直しだ。この頃「がれきが思ったよりも少ないらしい」「がれきの受け入れを検討しているが持ってくる木くずが無い」という情報がすでに広まっていた。

見直し後の宮城県のがれき総量は1150万トン。見直し前から420万トンも減ってしまった。もともと「どうしても現地で処理できないから広域処理が必要」と環境省が公表していた量はどれくらいか。

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この数字について、環境省の廃棄物対策課:山本昌宏課長は2012年4月、テレビ朝日の番組「モーニングバード」の「そもそも総研」に出演し、こう語っている。

「もともと中(地元)で出来ないものを外でやるという考え方ですから、全部できるんだったら外でやる必要はないんですね。中で出来ないものっていうのは何か、という事を出していただいたものを我々は、岩手県では57万トン、宮城県では340数万トンあります」

つまり宮城県と岩手県合わせて約400万トンだ。しかし、そのわずか1月後の見直しでがれきの総量が400万トン以上減ってしまったのだ。言い換えれば、見直し後のがれきは全て現地処理が可能なはずだ。

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岩手県のがれきは「不燃物」が83万トン増えた。しかし増えたこの「不燃物」も実は「がれき」ではない。「がれきに含まれていた土砂」や「海水をかぶった農地の土」を「がれき」としてカウントしたもの、いわば「水増し数字」だ。

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さらに広域処理では、これまで可燃物の話しか出ていなかった。なぜなら、不燃物は現地で再生利用する、復興資材として活用する計画だったからだ。しかし、可燃物の量が大幅に減った途端、不燃物を広域処理する話が急に出てきた。

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岩手県の「災害廃棄物処理詳細計画」を見てみよう。「廃棄物処理・処分受入先リスト(県内の施設)」一覧を見ると「一般廃棄物最終処分場」は沿岸被災地町村内に限定され、県内の他市町村での「処理・受入可能能力」は「ゼロ」だ。

岩手県の「一般廃棄物最終処分場」残余容量は130万トンあるにもかかわらず、この計画では47万トン残余容量がある盛岡市の廃棄物処分場についてひと言も触れていない。岩手県内の「処理・受入可能能力」を過小評価しているのだ。

(第12回につづく)

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by azarashi_salad | 2015-06-01 18:45 | 政治 | Comments(0) <:/p>

【連載企画】日本が”核のゴミ捨て場”になる日-震災がれき問題の実像- (第10回)

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(第10回:「広域処理」の必要性を検証①)

私たちの税金(それも増税により集められた復興予算)を使った公共事業であれば、事業の必要性や合理性、効率性が求められて当然だが、その点で「広域処理」にはどのような問題があったのだろうか。

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東日本大震災が起きた2011年。その年に湧き上がった「震災がれきの広域処理」問題は、放射能汚染を懸念する住民の声、それに押された各市区町村の慎重姿勢などによって、いったんは後景に退いた。

愛知県でも、大村知事が二度にわたって環境省に質問書を送るなど、慎重姿勢を強めた。そうした流れが一転したのは翌2012年3月になってからだ。画像のがれきの山の写真が朝日新聞朝刊の見開き両面を埋めたのも3月6日である。

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愛知県の大村知事は、再び「受け入れ表明」へと動く。震災直後の2011年4月に15万トン余りの受け入れを表明。同年秋になると環境省に質問状を出し、いったんは慎重姿勢に。そうした前年からの流れが再び元へ戻ったように映った。

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このときに愛知県が示した計画はどんな内容だったのだろうか。

一番左は知多市新舞子にある名古屋港南5区最終処分場跡地。真ん中が碧南市にある中部電力碧南火力発電所。一番右が田原市にあるトヨタ自動車田原工場。これらの敷地内に、仮置き場、焼却炉、最終処分場(埋め立て地)を整備し、震災がれきを100万トン受け入れようという計画だ。

(第11回につづく)

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by azarashi_salad | 2015-05-29 19:48 | 政治 | Comments(0) <:/p>

【連載企画】日本が”核のゴミ捨て場”になる日-震災がれき問題の実像-(第9回)

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(第9回:「広域処理」という公共事業⑥)

がれき処理関連の予算について見てみよう。2011年度は第1次補正予算及び第3次補正予算で7,778億円、2012年度は復興特会で4,156億円が計上され、わずか2年で1兆1,934億円の巨額予算が認められた。

このうち、国の代行処理に係る予算(災害廃棄物処理事業費)について、興味深い資料を発見した。「再生可能エネルギー導入及び震災がれき処理促進地方公共団体緊急支援基金事業(地域グリーンニューディール基金の拡充)」という環境省の予算資料だ。

この資料を見ると、「災害廃棄物処理事業費」は86%の補助金と9%の基金、5%の地方負担金で構成されていることがわかる。さらに5%の地方負担金についても「地方負担分を全額措置し、また地方税の減収分についても併せて手当てする。これにより、被災自治体の負担は実質的にゼロとなる」としている。

つまり、がれき処理費用は全額が国負担で賄われるので、処理単価が高くても被災自治体は痛くもかゆくもない、コスト意識が全く働かないのだ。一方の受け入れ自治体側にとっては、がれきが「お宝」(=補助金)に化けたことになる。

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さらに、がれきを受け入れた自治体には、がれき処理費用とは別に「震災復興特別交付税」まで交付される。

女川町のがれきを受け入れると噂されていた「ふじみ衛生組合」(三鷹市・調布市で構成)には、2011年度だけで10億円(三鷹市に4億6千万円、調布市に5億4千万円)の「震災復興特別交付税」が交付されている。

この補助金が、がれきの受け入れと引き換えに交付されるのであれば、財政難に悩む自治体にとってこれほど魅力的な話はない。がれきの広域処理を進めたい政府・環境省と、補助金を受け入れたい各自治体。双方の利害はこの点においてこそ一致したのではないか。

実際、広域処理の本当の目的が被災地支援ではなく補助金目当てだと思わせるデータが、このあと続々と明るみになるのだ。これについては後ほど詳しく紹介しよう。

(第10回につづく)

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by azarashi_salad | 2015-05-28 18:22 | 政治 | Comments(0) <:/p>

【連載企画】日本が”核のゴミ捨て場”になる日-震災がれき問題の実像-(第8回)

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(第8回:「広域処理」という公共事業⑤)

阪神大震災のがれきは、リサイクル率が約5割だった。セメントや木材、鉄鋼業界などは、東日本大震災のがれきにもそれを適用したいのではないだろうか。特に、原発事故以降は首都圏の焼却灰が高濃度汚染でリサイクル困難となり、復興事業で利用するセメントが不足しているとの報道もある。

将来的にはがれきだけにとどまらず、除染のために伐採した木材などもリサイクル資源として有効活用したいのではないか。

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これらの汚染資源のリサイクルによって、政府が既成事実化したい政策が「クリアランス制度」の定着だろう。「クリアランス制度」は2005年に法律として成立したが、多くの問題点を抱えるため日本社会ではまだ定着していない。

この制度の趣旨は「原発解体」で生じる廃棄物の処理にある。電力会社でつくる「電気事業連合会(電事連)」のホームページでは、次のように説明している。

「廃棄物の再生利用や適切な処分を進めていくためには、国民や地域社会の理解を幅広く得ながら進めて行くことが重要です。このため、制度が社会に定着するまでの間、電力会社では、原子力施設由来であることを了解済みの処理業者に搬出し、電力業界内を中心に自ら率先して再生利用を進めています。」

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2011年3月に起きた福島原発の事故によって大量の放射性物質がばらまかれた。このため、政府は震災がれきの処理と一体で汚染資源のリサイクル処理を進め、一気に「クリアランス制度」の既成事実化を図る。そんな思惑が見えてくる。

高濃度の汚染焼却灰も薄めてクリアランスレベル以下のセメントに加工すれば、市場に流通することが可能となる。原発を廃炉する場合も、クリアランスレベル以下の部分をスソ切りすることにより、廃炉コストを大幅に抑えることが可能となる。

政府・マスコミが一体となってキャンペーンしている「食べて応援しよう」も「みんなの力でがれき処理」も、政府と東電が負うべき放射能汚染被害の損害賠償額を低く抑えることが目的だと考えれば、すべてが経済合理性に基づく「コスト削減策」であると理解できる。

(第9回につづく)

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by azarashi_salad | 2015-05-27 18:39 | 政治 | Comments(0) <:/p>

【連載企画】日本が”核のゴミ捨て場”になる日-震災がれき問題の実像- (第7回)

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(第7回:「広域処理」という公共事業④)

アメリカ国立衛生研究所が、ある論文をまとめている。「化学物質の影響 東北地方太平洋沖地震と津波による汚染と除去」というタイトルで2011年6月に発表された。津波で流された震災がれきは化学物質にも汚染されている、という報告だ。

実際、震災がれきを処理した焼却灰からは、基準値を上回るヒ素や六価クロムが検出されたことも報道されている。

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画像は被災地のアスベストを測定した資料だ。通常の環境だと0.1f/L程度だが、震災がれき周辺では33.9f/L(300倍超)という高濃度汚染が確認されている。

阪神・淡路大震災の時と同様、震災がれきはアスベストにも汚染されているのだ。さらに、阪神・淡路大震災後のがれき処理などに携わった5人が、アスベスト(石綿)が引き起こすとされるがん、中皮腫を発症して亡くなったことも報道されている。

つまり、今回の震災がれきは放射性物質、化学物質、アスベストにより「複合汚染」されているのだが、それを普通の家庭ゴミと一緒に処理しようというのだ。しかし、マスコミではこうした情報はほとんど報道されないから、広域処理の問題がなかなか社会全体に広がらない。

こうした多くの問題を抱えつつ、政府はどうして広域処理にこだわるのだろう。政府だけでなく、与党も野党もマスコミも、この問題ではそろって「広域処理の必要性」を訴え続けている。その本当の理由が見えてきたのは、年が明けて2012年になってからだ。

全ては、経済合理性の産物だったと言って良い。言い換えれば、経済最優先。「食べて応援」「みんなの力でがれき処理」もおそらく行動原理は同じであろう。実は、進んでいないのは「復興」ではなく、がれきの「リサイクル」なのだ。

(第8回につづく)

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by azarashi_salad | 2015-05-26 18:21 | 政治 | Comments(0) <:/p>

【連載企画】日本が”核のゴミ捨て場”になる日-震災がれき問題の実像-(第6回)

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(第6回:「広域処理」という公共事業③)

環境省は、放射能汚染された災害廃棄物を普通の家庭ゴミと一緒に全国の一般廃棄物処理場で焼却処分しようと計画している。本当に大丈夫なのだろうか。まずは「処理の現場」をこの目で見よう。現場を見学してみると、やはり多くの疑問点が出てきた。

気づいた点をいくつか列挙してみよう。
1、収集したゴミは可燃物であることを確認してから「ゴミピット」に集められる。
→「ゴミピット」は周りの環境と遮断されておらずゴミ搬入口で外気と繋がっている。

2、「ゴミピット」に集められたゴミはクレーンで焼却炉に運ばれる。
→クレーンや焼却炉の投入口に引っかかったゴミを作業員が手で取り除くこともある。

3、焼却炉から出た煙はフィルターで汚染物を除去した後、煙突から大気中に放出される。
→フィルターはエアコンや掃除機のような交換式ではなく定期的に作業員が清掃する必要がある。

4、焼却炉から出た灰はコンベアにより「灰ピット」まで運ばれる。
→焼却灰の移動も100%自動ではなく作業員が手で取り扱う場合もある。


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5、システム全体を「中央制御室」で運転・監視している。
→排気は法律で定められた基準を守るよう監視しているが、煙突から大気中に出る排気を直接測定していない。また放射性物質の監視も行っていない。

6、「灰ピット」に集められた焼却灰はクレーンで搬出車両に積み込まれる。
→「灰ピット」も周りの環境と遮断されておらず、焼却灰の搬出口で外気と繋がっている。


一宮環境センターで生じた焼却灰は、最終処分場に埋立て処分になる。そのため、愛知県の「衣浦港3号地廃棄物最終処分場」も見学してきた。

この最終処分場で放射能汚染されたがれきや焼却灰の処理が可能なのだろうか。そう質問したところ、担当職員は「セシウムは水に溶ける性質があるので、このような海に埋立てる処分場では不可能。処分できるとすると陸の最終処分場ではないか」と回答した。

放射能に汚染された廃棄物を処分するなら陸の最終処分場。そう聞いた私たちは、今度は陸上の最終処分場を見学した。岐阜県多治見市にある「名古屋市愛岐処分場」である。名古屋市内の焼却灰や不燃ゴミの多くは、最終的にはこの最終処分場に埋立てられる。

ここに放射性物質で汚染された焼却灰や廃棄物を埋立てて本当に問題がないのだろうか。処分場の職員から「受け入れ不可能」との明言はなかったが「浸出水処理施設で放射能汚染の除去は不可能」と明言してくれた。とても重要な情報だった。

(第7回につづく)

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by azarashi_salad | 2015-05-25 18:20 | 政治 | Comments(0) <:/p>

【連載企画】日本が”核のゴミ捨て場”になる日-震災がれき問題の実像- (第5回)

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(第5回:「広域処理」という公共事業②)

3日後の10月7日、関係都道府県廃棄物行政主管部(局)あてに一通の事務連絡が送付された。

この事務連絡は多くの問題を含んでいた。まず期日の問題だ。事務連絡が送付された10月7日は金曜日、翌8日からは3連休だった。しかも環境省は、管内市区町村分の回答をとりまとめて10月21日17時までに提出しろ、という。

愛知県は、急遽、がれき処理に関する説明会を開くことにした。その日付が10月13日。その説明を受けて各市区町村が県に回答する期限は10月20日。これでは住民に十分な説明をする時間など確保できるはずもない。

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調査方法にも大きな問題があった。この調査では、震災がれきの受け入れ「検討状況」について、三つの選択肢から一つを選んで回答せよ、と各自治体は要求されている。

AからCまで、いずれも「受入れ」の方向を示すものばかり。そもそも「受入れ困難」は最初から選択肢がない。このため、受入れは困難と考えた場合や短期間で十分に検討できないといった場合、自治体側は「白紙」回答しか方法がなかった。

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3番目の問題は「情報公開」に対する姿勢である。事務連絡は末尾で「本調査の結果について、個別の地方公共団体名は公表しないこととしています」と明示した。環境省は「広域処理を秘密裏に進めようとしていた」のだ。

この調査結果について市民団体が情報開示請求したが、環境省は自治体や処理施設の名前を不開示とした。この対応について、2014年12月大阪地裁は、国に対して情報公開するよう命じた。(その後、情報公開された)

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愛知県の住民たちは、こうした環境省のやり方に反発した。県内それぞれの地域で結束し、自分たちが住む各自治体に対して「環境省には慎重な回答を行うように」との要請を繰り広げた。

ツイッターやフェイスブック、ミクシィといったSNSも積極的に活用した。各自治体の反応や回答状況を「星取り表」のように埋めながら、住民運動の進捗状況を「見える化」したのだ。

ここでは省略するが、本には住民たちと自治体職員や地方議員との生々しいやりとりも掲載しているので、関心がある方は是非読んで頂きたい。

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結局、10月21日を環境省への回答期限とした「受入調査」に対しては、各自治体とも取りまとめ役の愛知県に「白紙」で回答した。

震災直後の4月にがれき受け入れを表明した愛知県も、住民の動きやそれをバックにした各自治体の「白紙」回答などに押されて姿勢を変えつつあった。実際、環境省に二度も「質問書」を送った愛知県は、慎重な姿勢に変わったように思われた。

(第6回につづく)

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by azarashi_salad | 2015-05-22 18:53 | 政治 | Comments(0) <:/p>

【連載企画】日本が”核のゴミ捨て場”になる日-震災がれき問題の実像- (第4回)

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(第4回:「広域処理」という公共事業①)

環境省が執拗に広域処理にこだわった理由の一つが予算だ。

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これは震災がれきを広域処理するために成立させた「もう一つ」の特措法だ。この特措法により、震災がれきの「国による代行処理」と「国による処理費用の負担」が可能となった。

これに伴い環境省は1兆円を超す予算(復興予算)を手に入れた。ちなみに役所(官僚)にとって最大の目標が「予算の確保」だ。今回の件で味をしめた環境省は、大規模災害が発生するたびに予算が確保できるよう、この特措法を恒久化する法改正を2015年3月に閣議決定した。

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何しろ1兆円と言えば中部国際空港を整備した予算とほぼ同額だ。つまり「震災がれき広域処理」は予算規模1兆円の公共事業となったので、住民の反対意見がいかに「正論」であっても、なかなか軌道修正されなくなったのだ。話を元に戻そう。

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環境省は、がれき広域処理に際しどのようなモノサシを示したのだろうか。原発事故以前は「1キログラム当たり100ベクレル」に境目があった。「クリアランスレベル」という原子炉等規制法に基づく処理・処分の基準だ。

これ以上の濃度を持つ放射性廃棄物は、性質や濃度に応じてドラム缶に入れて密閉したり、コンクリートで固めて埋めたりすることになっていた。何本もの黄色いドラム缶が原子力関連施設内で積み上がっている写真を、多くの方が見た記憶があるのではないか。

しかも原発から出たゴミは「1キログラム当たり100ベクレル」以下のものでさえ黄色いドラム缶に入れて厳重に管理しており、一般廃棄物(家庭ゴミ)の処理場では焼却・埋立て処分などしていなかった。

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これに対し、原発事故後はモノサシが変わった。福島第一原発事故由来の放射能汚染に関する「特別措置法」ができたからだ。基準は一気に80倍、「1キログラム当たり8000ベクレル」に引き上げられた。

しかも一般廃棄物(家庭ゴミ)の処理場で焼却・埋立て処分しても問題ないという。こんなことで、本当に大丈夫なのだろうか。がれき広域処理については当初、全国で572市町村(事務組合を含む)が受け入れを表明。その量は最大で年間約488万トンに達していたという。

ところが、その後、住民ばかりでなく処理業者の間でも放射性物質に対する懸念が強まり、慎重論が広まった。各都道府県に対する環境省の「要請」は、こうした最中の10月4日に行われた。

(第5回につづく)

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by azarashi_salad | 2015-05-21 18:38 | 政治 | Comments(0) <:/p>

【連載企画】日本が”核のゴミ捨て場”になる日-震災がれき問題の実像- (第3回)

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(第3回:「震災がれき広域処理」とは②)

川崎市での騒動が続いていた2011年4月、愛知県でも同じような動きが出ていた。大村知事が震災がれきの受け入れを表明したのは、川崎市よりやや遅れた4月25日だ。定例記者会見の席上、愛知県内での受け入れを検討すると発言したのである。

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報道で大村知事発言が伝わると、愛知県にも苦情や抗議が殺到した。川崎市の場合と同様、愛知県も受け入れに際し「放射能に汚染されたごみが持ち込まれることはない」と説明するだけで、受け入れ基準や処理方法など、具体的な内容を説明していない。

具体的な内容を明らかにしないまま、受け入れのみ既成事実化しようとする政府や愛知県に対し、住民たちが「行政の不備」を指摘したのだが、この点もまた川崎市と同じだった。

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放射能問題に関する情報を交換しながら必要に応じて横につながるネットワーク。それが「未来につなげる・東海ネット」だ。もともと東海地域で活動していた「放射能のゴミはいらない!市民ネット・岐阜」や「核のゴミから土岐市を守る会」なども「東海ネット」に合流していた。

団体の数や多様さ、規模から言えば、まさに東海地方最大級のネットワークだ。このネットワークなら「放射性廃棄物の拡散防止」に協力する仲間が見つかるのではないか、そんな考えから筆者も結成集会に参加した。

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「東海ネット」の結成集会から約2週間後の8月10日、地方議員との面談が始まった。がれきの広域処理は、自民党から共産党まで与野党全ての政党が支持していた。これに対して私たちは無党派層で、特定の政党や政治勢力を支持するグループではない。

結局、結論はこうだった。「与野党、会派にかかわらず、対応してくれる全議員と面談を重ねよう」「住民の代表である地方議員を通じて、私たちの意見を行政に反映させるには、それしかないのだから、政治家個人の良心に訴えよう」

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面談では、これまで法律で厳しく規制されていた「クリアランスレベル」を超える廃棄物が普通の家庭ゴミのように処理されようとしているが、これらの廃棄物処理に関する情報を県が住民に教えてくれないので議会で確認して欲しい、と訴えた。

説明を聞いた近藤議員は「この件は名古屋市だけで解決できるような問題ではなく、国レベルの非常に大きな問題と認識している。頂いた要望書と資料は、早速、佐藤夕子衆院議員(当時)に送付するとともに、会派でよく検討した上で対応したい』と答えた。

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「議員との面談を続け、住民の要望を伝えよう」という動きは国会議員にも及んだ。対応してくれたのは民主党の谷岡郁子参院議員(当時)である。谷岡議員が所属する民主党は政権与党(当時)で、谷岡氏は党の「原発PT事務局次長」を務めていた。

この面談でも目に見えるような満足な回答は得られなかったが、私たちの要望が与党で活動している国会議員にも伝わった。

(第4回につづく)

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by azarashi_salad | 2015-05-20 18:46 | 政治 | Comments(0) <:/p>