▲問題は手当じゃなくて時間だろう!

●<時間外手当>断水の北見市、水道担当職員に100万円(9月8日3時9分配信 毎日新聞)
 北見市で相次いだ大規模断水に伴い、3回の取水停止が繰り返された7月に、水道行政を担当する企業局職員3人にそれぞれ100万円以上の時間外手当が支給され、最高額は112万9000円に上っていたことが分かった。月額が100万円を超えるのは異例。同市には7日だけで40~50件の非難電話やメールが相次いだ。

○いかに「人災」であったとしても、実際に働いたにもかかわらず手当てを支給しなければ明らかに「違法行為」
 「ただ働き」を推奨するような論調には違和感があるが、それよりも、時間外手当が月額100万円を超えるような残業をさせること自体が異常だとは誰も思わないのだろうか。

 もしこれが事実なら、こうした異常な残業を命令する管理職は明らかに勤務時間管理能力及び健康管理能力が欠如しているので、死者が出る前に一刻も早く全員更迭すべきである。

 下の北海道新聞記事に詳細が載っていたので、これを元に、実際に100万円以上の残業手当が支給されていた職員の勤務時間について検証してみよう。

●北見市断水 職員に高額時間外手当 市民から強い批判(09/07 07:03)
 【北見】「市役所のミスが招いた災害なのに、納得できない」-。北見市で六、七月に相次いだ大規模断水に伴い、市職員の時間外勤務手当が二カ月間で総額約八千五百万円に上った問題で、市民や市議会から強い批判が上がっている。財政難に悩む北見市は本年度から財政健全化計画を進めており、「百万円以上もの手当を受けた職員には自主返納を求めるべきだ」との声もある。
 「命がけの職員もいただろうが、これでは市民の信頼を失ってしまう」。五日に開かれた市議会断水問題調査特別委。与野党の議員からは、専門家による原因技術調査委員会が「断水は人的ミス」と指摘したにもかかわらず、巨額の時間外手当を支給したことに厳しい意見が相次いだ。
 北見市職員給与条例は他の道内自治体と同様に、係長以下の一般職員に支払う時間外勤務手当について、通常の勤務時間を超えた分をすべて支払うと規定している。断水時、時間外が最も多い職員で六月は百二十時間、七月は三百九十四時間に達した。三百九十四時間の内訳は、土日・祝日の出勤分(十日間)が計百八十二時間、平日(二十一日分)の残業時間が計二百十二時間で、すべて実働時間だという。
 手当最高額は六月分三十六万円、七月は百十二万円。七月に百万円以上支給された職員は三人で、いずれも浄水場の職員だった。渡部真一・北見市総務部次長(職員監)は「規定されている以上、支払う以外の選択はないが、非常時の支給については再考の余地がある」と話す。
 阪神大震災の際、仮設住宅担当の職員一人に年間六百四十万円(月約五十万円)の時間外手当を支払い、議論を呼んだ兵庫県宝塚市は「労働基準法上、時間外は支払う必要がある」(担当者)とするものの、「うちでも月の時間外が百万円を超す職員は皆無だった。信じられない」という。
 断水時、独居老人宅に飲み水を届けるなどした北見市内の町内会長は「ボランティアで頑張った人も多いのに、職員だけ優遇するのは納得できない」。数日間の休業を強いられた飲食店主は「市職員が焼け太りのように多額の手当を得るのは市民感覚として許せない。賞与の一部を返納する社会保険庁職員のような対応を取るべきだ」と怒る。
 酪農学園大の河合博司教授(地方自治)は「働いた分の給与が支給されるのは当然」としながらも、「最終的な責任は職員ではなく市長にある。市長の責任を明確にした上で議論すべきだった」と話している。

○記事によると、最も残業が多かった職員の7月の残業時間は394時間で、その内訳は、土日・祝日(10日分)が計182時間、平日(21日分)が計212時間。

 まず、平日の残業時間は1日平均約10時間なので、所定の労働時間を8時間とすると毎日18時間以上働いたということになる。
 さらに、労働基準法では労働時間が8時間を超える場合には、最低でも1時間の休憩時間(無給)を与えなければならないと定めているため、実労働時間(拘束時間)は19時間以上。
 これに通勤時間や風呂、着替えなどの生活する上で最低限必要な時間を加味すると、この職員の平均睡眠時間は確実に4時間未満と思われる。

 さらに、7月の土日・祝日は10日しかないので、この残業時間が計182時間ということは、休日も平日と同じく18時間労働、拘束19時間、睡眠時間4時間未満で働いたということ。

 つまり、北見市の説明が事実だとすると、この職員は「7月は一日たりとも休まずに連日睡眠時間4時間未満で働きっぱなし」だったということになる。

 この「拷問」のような労働時間自体が非人間的で私には到底信じられないが、北見市は「非常時だから職員の一人や二人死んでも構わない」と判断したということだろうか。

 この職員の身に何かあった場合は確実に労災(公務災害)が適用されると思うが、取材をした北海道新聞記者や取材に応じた北見市総務部次長(職員監)、手当を返還しろとコメントしている北見市の与野党議員や市民たちは、誰も残業時間そのものが異常だとは思わないのだろうか。(何か人として大事なものを見失っているような気がする)

○それでも、もしかしてここには数名の職員しかおらず、やむを得ない非常措置だったのかも知れないと思って北見市企業局の組織形態を調べてみたら、なんと局長・次長以下、5課1室1センターの組織で10名の管理職(課長級以上)と26名の一般職員、合わせて36名以上の職員がいると思われる。(職員数は組織図からの推測)

●北見市企業局(組織図)

 これだけの規模の職場において、特定の職員に月400時間近くもの残業を命令すること自体、如何にこの企業局の管理職が管理能力に欠けるか、誰でも容易に理解できるはず。

 というわけで、北海道新聞には「百万円以上もの手当を受けた職員には自主返納を求めるべきだ」などという「ただ働き」を煽るような記事ではなく、ぜひとも「過労死」を推し進めるかのような残業時間にメスを入れて、「真実」を明らかにしていただきたいものである。

【追記】
 コメントに回答していて思いついたのだが、そもそもこのような異常とも思える残業を命令した管理職は、職員の勤務時間管理能力にも健康管理能力にも欠ける不適格な管理者といえるので、市長以下、不適格な管理者全員の給与や賞与を能力に見合った額に減額し、職員に支払った時間外手当の穴埋めをするというのはどうだろう。

 そうすれば、怒っている市民たちも納得すると思うのだが、道新さん「・・・・との声もある」という風にぜひともご紹介を、笑。

【9/9:追記】
 またまたコメントに回答していて思いついたのだが、この残業時間が事実だとすると「何の策も講じずに担当者に丸投げ」ということで、上司は確実に管理者として失格だし、もし残業手当の「水増し請求」だったとしたら、それを見抜けなかった上司全員(市長も含む)も管理者として失格といえる。
 いずれにしても、市長以下の管理職は管理者としての資質に欠けることがはっきりしたので、まずは彼らの管理責任を追及すべきだろう。

 ちなみに、担当職員(部下)に400時間もの残業を命令している時に管理者たち(上司)が何をしていたのか、市長以下幹部職員(関係する上司)全員の勤務実績を情報開示請求してみてはどうだろうか。
 まさか休暇を取ってゴルフなんてことはないと信じたいが。

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by azarashi_salad | 2007-09-08 09:05 | 社会 <:/p>

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