△色んなスタンスの記事を読んだ方が、より「真実」に近くなる


●ホームから男性転落、朝の武蔵野線乱れ2万人に影響(読売新聞)8月30日

 30日午前7時ごろ、千葉県流山市南流山のJR武蔵野線南流山駅で、同市の土木作業員の男性(60)が下りホームから約1・1メートル下の線路脇に転落し、頭に軽いけがを負った。
 直後に東所沢発東京行き下り普通電車(8両編成)が進入してきたが、ホーム下の「退避スペース」に避けて無事だった。
 流山署の調べによると、男性は酒に酔っていて、「物を拾おうとして落ちた」と話しているという。
 JR東日本によると、この事故で、同線は上下12本が最大30分遅れ、約2万人に影響が出た。


●<JR武蔵野線>ホームから転落も男性無事 千葉・南流山駅(毎日新聞)8月30日

 30日午前7時ごろ、千葉県流山市南流山1のJR武蔵野線南流山駅で、男性(60)がホームから転落。直後に東所沢発東京行きの下り普通電車(8両)が進入してきたが、男性はホーム直下の退避スペース(奥行き約50センチ、高さ約1.1メートル)にいたため、頭に軽傷を負っただけだった。
 千葉県警流山署の調べでは、男性は出勤途中で、「ホームに落とした薬を拾おうとしたが誤って落ちた」と話している。JRによると、同線は西船橋―府中本町間で上下線の運転を約30分間見合わせ、約2万人に影響した。【田村彰子】


○東京駅新幹線ホームで今年5月に起きた、ホームと車両の隙間に幼児が挟まった事故では、どの記事の見出しを見ても幼児の無事よりダイヤの遅れを強調していたことから、(▲酷い「見出し」だ)というエントリーを書いて、日頃は安全最優先といいつつも実際には安全よりダイヤを優先させているとしか思えないマスコミの報道姿勢について問題提起した。

 ところが、今回上で紹介する記事では、ダイヤの遅れに焦点を当てた読売新聞と男性の無事に焦点を当てた毎日新聞とでは、報道スタンスに明らかな違いが見られる。

 読売新聞記事には、「土木作業員の男性」「男性は酒に酔っていて」とも書かれており、平日の朝から酔って線路に転落した男性の非を暗に批判しながら、ダイヤの遅れと国民生活への影響を強調している。

 一方の毎日新聞記事には、「男性は出勤途中」「ホームに落とした薬を拾おうとしたが誤って落ちた」と書かれており、線路に転落した男性を批判するのではなく幸いにも無事だったことを強調している。

○今回紹介した両記事は、同じ事件・事故であっても取材する側のスタンスの違いにより記事内容が異なる「見本」といえるが、現時点では細かな事実関係が不明なため、どちらの記事・見出しが「真実」に合致しているか一概には言えない。

 ただし、好みの問題かもしれないが個人的な感想を言わせていただくならば、読売新聞記事の方は今の社会を反映してか人間に冷たい印象を受ける。

 また、男性の職業(土木作業員)に関して言えば今回の事故とは何ら関連性がなく、一方男性が「酒に酔っていた」のであれば大いに関連性があることから、ニュースを読む側としては記事のイメージに左右されるのではなく、双方の記事から必要な事実をピックアップし、自分の脳内で以下のような記事に変換した方が、より「真実」に近づくのではないだろうか。

●<千葉・南流山駅>ホームから転落も男性無事 朝の武蔵野線乱れ2万人に影響 

 30日午前7時ごろ、千葉県流山市南流山のJR武蔵野線南流山駅で、同市の男性(60)が下りホームから約1・1メートル下の線路脇に転落し、頭に軽いけがを負った。
 直後に東所沢発東京行き下り普通電車(8両編成)が進入してきたが、男性はホーム直下の退避スペース(奥行き約50センチ、高さ約1.1メートル)に避けて無事だった。
 流山署の調べによると、男性は酒に酔っており、「ホームに落とした薬を拾おうとしたが誤って落ちた」と話しているという。
 JR東日本によると、この事故で同線は西船橋―府中本町間で上下線の運転を約30分間見合わせ、約2万人に影響が出た。

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by azarashi_salad | 2006-09-02 06:32 | 社会 | Comments(6) <:/p>

Commented by dawn at 2006-09-02 14:26 x
こんにちは
どうも読売の書き方は腑に落ちませんね。午前7時であれば、毎日が書いているように出勤途中の事故のような気がしますし、もし仮に「酔っていた」としても、「財布を落とし、自分も落ちた」ことと「酔っていた」こととの因果関係が明確でもないのに、意識的に「土木作業員」と云う職業と朝から「酔っていた」こととが必然であるかのように書かれているような感じを受けます。これはある職業のイメージに対する一種のスリ込みを行うと云う大手マスメディア人一般の特権階級意識が極めて自然に文章に出ている好例かもしれませんね。dより
Commented by おかにゃん at 2006-09-02 15:00 x
こんにちは。
一つの事故でも報じ方によって全く異なる印象になるのですね。
土木作業員=酒=朝から泥酔,という勝手な方程式を頭の中で組み立ててしまった読者も多いのではないでしょうか。

実はこれに関連してちょっと気になったは「裁判員制度」です。
これも,ある事実(例えば殺人事件)について,本来は多角的に見るべきなのでしょうが,やり方如何によっては「どっちかより」に傾いてしまい,正しく判断できるのか,ちょっとばかり疑問を感じてしまいました。
もっとも,裁判の場合は,検察官と弁護士が対局にいるわけで,それぞれの立場からちゃんと主張するため,この新聞記事のような一方的な見方になることはないとは思いますが。
Commented by azarashi_salad at 2006-09-03 08:34
♪dawnさん、こんにちは。
dawnさんもそう思われましたか。
私も、スーツ姿のビジネスマンが現座作業員を見下しているかのような印象を抱いてしまいました。
テレビに限らず、新聞記事でもこうした印象操作が少なくないことを、私たちは理解しておく必要がありますね。
Commented by azarashi_salad at 2006-09-03 08:37
♪おかにゃんさん、こんにちは。
裁判員制度が導入されると、こうしたマスコミによる印象操作で判決が偏る危険性も予想されますので、何らかの対策が必要かもしれません。
でなければ、マスコミが「第4の権力」ではなくて「第1の権力」になりかねませんね。
Commented by jardim_ai at 2006-09-18 10:48 x
御無沙汰しております。いい記事を読ませて頂きました。
読売新聞のような見方、書き方は、厳然として残ってますね。
現場にいた人たちの、見方も、さまざまでしょう。
そのとき、車内アナウンスはどう流れていたのか、そこにも、興味があります。
電車の遅れの方を、強調したのでしょうか。
「おかげさまで、無事、病院に運ばれました」の一言があれば、乗客たちも、ダイヤの遅れはそれとして、「よかったね」と、言えたのではないかと思います。
ダイヤに正確に運行することにかけては、世界一と思われる日本の鉄道。でも、運転者も、利用者も、人間であり、予期せぬことに遭遇した時、その経過や事実の解明と共に、人に対する寛容さと、命の無事を願う気持ちを持ちたいと思います。
新聞記事に、個人的感想は、書けないのでしょうが、客観的なように見えて、実は、余談を与えるような書き方は、よく見受けます。
新聞、テレビの報道に対する信仰は、まだ大きいですから、発信されたものの影響を、よく考えて欲しいものです。
(現在ブログの引っ越しを検討している最中で、名前、URLをリンクできません。お許し下さい。(こころのデザイン帳)
Commented by azarashi_salad at 2006-09-23 08:03
♪jardim_aiさん、こんにちは、お久しぶりです。
>人に対する寛容さと、命の無事を願う気持ち
おっしゃるとおりだと思います。
この数年間の日本社会から一番失われたもの、かもしれません。
特に、最近のテレビを中心とする大手マスコミの報道振りはひどいですね。
ブログを引っ越されたら、ぜひTBにてお知らせください。

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