△社会保険庁と損保ジャパンの意外な共通点

●ノルマ最優先 転換促す 損保ジャパン処分(2006年5月26日 読売新聞)

 金融庁が25日、損害保険ジャパンに厳しい処分を下した背景には、本来最も重視すべき契約者保護をおろそかにして、新規の契約獲得を最優先する営業至上主義という保険業界の古い体質を改めさせる狙いがある。保険業界では、明治安田生命保険や損保26社の保険金不払い問題が発覚するなど不祥事が相次いで表面化し、業界の意識改革は一向に進んでいないことが浮き彫りになった。保険会社に対する一連の処分で、旧来のノルマ営業から決別し、顧客の信頼回復を果たせるかどうかは不透明だ。


○先日のエントリー(▲戦略なき目標設定が不正行為を生む)で社会保険庁の不正行為について取り上げたが、上で紹介する損保ジャパンの不祥事と驚くほど共通点が多い。
 小泉首相が、鳴り物入りで民間出身初の社会保険庁長官として抜擢した村瀬氏が、出身元の損保ジャパンから社会保険庁に持ち込んだのは一体何だったのだろうか。

 上の記事によると、不祥事が続発した原因について損保ジャパンは「目標と(営業現場の)実態が乖離(かいり)していた」と述べたそうだが、社会保険庁の不祥事についても同じことが言えるのではないか。
 つまり、組織のトップが現場の実態を正しく把握せず、具体的な戦略を現場に丸投げしたまま数値目標ばかり掲げるから、こうした不正行為が生まれたとはいえないか。

○損保ジャパンでは、本社が設定する高い目標を現場がクリアすることは厳しさを増していることを承知の上で、平野社長が支店長クラスにまで電子メールを送りつけて「(販売目標は)必ず達成するように強力な取り組みをお願いしたい」などと圧力をかけていたという。
 社会保険庁でも、村瀬長官が各地方事務局に対して「言い訳無用」「結果を出せ」と同様の通達を出しており、まさに損保ジャパンと同じような圧力が現場にかけられていたのではないだろうか。

 このため、損保ジャパンでは「複数の拠点では、社員が契約者に無断で印鑑を押して自動車保険の契約を継続させるなどの不正行為は2970件に上った」といい、契約継続と免除申請の違いこそあれ、結果を出すために不正な処理を行うという、まさに社会保険庁の事例と同様の行為が行われていた。

 こうした不祥事について、損保ジャパンの平野社長は「当時は妥当な目標と考えていたが、結果的に高かった。反省している」と責任を認めたものの、自らの進退については「経営陣の責任の問題は、複数の弁護士と相談し服務規程に照らして決めた」と述べるにとどまり、現場の担当者は処分したのに組織のトップが責任を取らないあたりも社会保険庁の場合と共通している。

○最後に、上の記事では損保ジャパンの不祥事再発防止について「経営陣や営業現場が古い体質から脱却し、契約者重視の経営にかじを切らない限りは、再発防止策を掲げても、“元のもくあみ”になりかねない」と指摘しているが、社会保険庁に対しても「厚生労働省や社会保険庁が古い体質から脱却し、加入者重視の方針にかじを切らない限りは、再発防止策を掲げても、“元のもくあみ”になりかねない」と全く同じことが言えるのではないだろうか。
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by azarashi_salad | 2006-05-29 20:16 | 社会 | Comments(0) <:/p>

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