【「豊かさ」について考える】

●格差社会に豊かさ指標を 2006年04月25日

 格差の広がりが争点になっている。「高齢化のせいだ。世帯の少人数化のせいだ」と格差拡大そのものを認めまいとする屁(へ)理屈が横行しているが、身の回りに厳然と格差の存在を感じている生活者の感覚が正常なのだと思う。


○「格差社会」については前回のエントリーでもとりあげたが、「景気回復」といわれているにもかかわらずどうして「豊かさ」の実感が伴わないのだろうか。

 私は、その最大の理由は社会の「安心」と「安全」が脅かされているからに他ならない、と考えている。

 どうして「安心」と「安全」が脅かされているかについては前回のエントリーでも書いたが、それに加えて「おかにゃん」さんのエントリー(格差社会,助さんはどう思う?)にTBしていた「katu992001」さんのエントリー(最近事故が多発する原因)で指摘されている現場労働者のモチベーション低下も一因だと思う。

 かつて、年功序列や終身雇用が保障されていた頃の現場労働者は、企業の命運が自らの命運でもあったため、それこそ身を粉にして働き、高度経済成長と言われたこれまでの日本社会を支えてきた。

 しかし、katu992001さんが指摘しているように、今や多くの現場は丸投げの下請けや平均年収300万円と言われる派遣労働者で占められており、企業業績が回復しても直接自らの待遇に反映されない「仕組み」となってしまった。

 政府や財界は「高コスト体質改善」とうたい、専ら人件費削減に的を絞ってこうした「仕組み」を作っておきながら、今になって、現場労働者にだけかつてのような高いモチベーションを持てというのは、余りにもご都合主義というものであろう。

 しかも、こうした「仕組み」が、ちょっとしたミスが直接人の命にかかわる公共交通機関などにも拡がっているため、ますます社会の「安全」が脅かされているのではないだろうか。

 マスコミを始め、多くの方は事故が起きた時だけ声高に「安全」を主張する傾向にあるが、本当に「安全」や「安心」が重要と思っているのであれば、私はこうした「仕組み」の見直しにこそ手をつけるべきと考える。

○最近乗った地下鉄車内に「豊かさの基本は安心と安全」という中吊り広告が貼られていたが、まさにそのとおりで「安心」と「安全」が脅かされているからこそ、いくら「景気回復」といわれても今の社会には「豊かさ」の実感がないのだと思う。

 冒頭の記事では、格差社会を真正面から論じるためにこそ、地域の暮らしやすさなど、地道な豊かさ指標を作り上げることが必要と指摘しているが、そうした指標を作るのであれば、やはり「安心」と「安全」を評価の柱にするべきではないだろうか。
[PR]

by azarashi_salad | 2006-05-07 05:13 | 社会 <:/p>

<< ▼戦略なき目標設定が不正行為を生む ▲やっぱり「格差拡大景気」だろう。 >>