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▼幼児殺害事件の報道姿勢について

▼幼児殺害事件の報道姿勢について_a0008617_234366.gif●この度の幼児殺害事件については、子を持つ親としては何とも言えないほど酷い事件だっただけに、無意識の内に今回の事件に関するニュースから避けていたのだが、◆木偶の妾言◆の管理人である仁さんから「中国名報道への違和感」というエントリーをTBいただいたので、私なりの考えを書いてみた。

○仁さんは、今回の事件に対する各社の報道呼称について『最初はバラバラだったが、現在、ほとんどの新聞は本名である中国名で報じている。(中略)新聞やテレビはいつ本名主義に転じたのだろう』と疑問を投げかける。

 その上で、『「中国人だから起こした」と「安心してしまう」ことは、容易で楽な態度だし、そんな犯罪者と自分は違うのだという安堵は得られるだろうが、事件の本質を見えなくしてしまう危険性が高い』と問題提起している。

 私は、今回の事件に限らず、基本的に報道する際には、読者に対して出来る限り正確な情報を提供するよう心掛けるべきと考える。

 だから、仁さんが主張する『彼女が日常で使用していたはずの日本名を優先して「日本名(本名・中国名)容疑者」と報じ』については同感だが、『その後は「日本名容疑者」で通すのが首尾一貫とした態度ではなかろうか』については少し異なる考えを持っている。

 なぜなら、ニュースの読者は必ずしも最初からこのニュースに注目している方ばかりとは限らないので、「日本名容疑者」だけの報道しか目にしなかった場合、その読者に対して「加害者が外国から日本に来て文化の違いやコミュニケーションに悩んでいたかもしれない」という事実が正確に伝わらない恐れがあるからだ。

 したがって、読者に対して出来る限り正確な情報を提供するという考えを優先するのであれば、最初から最後まで『彼女が日常で使用していたはずの日本名を優先して「日本名(本名・中国名)容疑者」と報じ』るべきではないだろうか。

【2/19:追記】
仁さんからいただいたコメントによると、『その後は「日本名容疑者」で通すのが首尾一貫とした態度ではなかろうか』は、あくまで一つの記事の中でのことであって、記事の冒頭で「日本名(本名・中国名)容疑者」を書けば、同じ記事中でことさらに中国名を強調する必要はないだろう、ということらしい。であれば、私も全く同じ考えである。

○ただし、今回の事件については、そうした呼称の問題に焦点をあてることよりも、事件の背景を正しく分析し、同じような事件の再発防止に向けて「他山の石」とするような報道姿勢が望まれると考える。

 その意味では、もしかすると私の認識不足かもしれないが、私が見た範囲においては仁さんが懸念しているような「中国人だから起こした」という視点で、この事件を報道しているとは思えない。

 もちろん、加害者が海外から日本に来てコミュニケーションに悩んでいたことを事件の背景として取り上げてはいるが、公園デビューなどの問題や以前におきた「お受験殺人事件」などともリンクし、どこでも起こり得る問題として捉えているように思える。

 さらには、集団登園が半強制的なルールになっていたことなどにも焦点を当て「こうしたルールが心の負担になっている方が他にも大勢いるはず」と、基本的には「他山の石」として捉えようとしているのではないだろうか。

 もちろん、全国には今回の被害者・加害者と同じような環境に置かれている方もたくさんいると思われるので、そうした方々のことを想像した上で、配慮ある報道やコメントを心掛けることもとても重要な視点だとは思うのだが。

by azarashi_salad | 2006-02-19 15:00 | 社会 <:/p>

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