【耐震偽造被害の国家賠償の可能性について考える】

a0008617_1152374.gif●少し遅くなったが、以前のエントリー(♪国家賠償法とは?)で書いた通り、今回は条文の具体的な内容にもう少し踏み込んで、国家賠償の可能性について考えてみたい。

○前回のエントリーにも書いた通り、今回の耐震偽装被害住民の方々が国家賠償法に基づく行政賠償請求を行う場合は、第1条について公務員の故意または重大な過失を立証することが必要となると思われる。

 では、一体誰のどのような行為を対象にすれば国家賠償の可能性があるか、以下のとおり考えてみた。

○まず、国土交通省の建築確認関係の業務に携わっている公務員を対象にした場合はどうか?

 これについては、国家賠償法第1条には「公権力の行使に当る公務員が、その職務を行うについて、故意又は過失によつて違法に他人に損害を加えたときは」と書かれているので、彼らが規則等で定められた監査などをサボっていたなどの違法な事実を立証できれば話は別だが、以前のコメントにも書いた通り、また前回のエントリーに頂いたおかにゃんさんのコメントにも書かれている通り、今回のような意図的な偽装行為を見逃した建築検査機関の、さらにその監督官庁の職員というだけで、彼らの違法性まで問うことが出来るかというと、被害住民の方々には誠に酷かもしれないが、正直かなり厳しいと言わざるを得ない。

○では、直接建築確認を行っていた自治体の職員を対象にした場合はどうだろうか?

 こちらの場合も、彼らが規則等で定められた建築確認作業などをサボっていたなどの違法な事実を立証できれば話は別だが、恐らくこうした規則は構造計算を故意に偽装することなどを想定して作られてはいないと思うので、こちらについても結果責任だけで違法性まで問うことが出来るかというと、かなり難しいのではないだろうか。

○では、被害者住民たちには為す術がないかというと、そうでもないかもしれない。

 前回紹介した本「国家賠償訴訟入門(三協法規)」では、現役の法務省大臣官房参事官(執筆時)であった石井忠雄氏が、次の通り解説している。
①1条の「国又は公共団体」については、常に「公権力の行使」との関係で考えることが求められる。
②「公権力の行使」をする者を「公務員」と表現している。

 つまり、民間人でも国家賠償法の適用については公務員とされることがあり、実際に委託を受けた民間人が国家賠償法上の公務員に当たるとした裁判例があるのだそうだ。 

 したがって、例えば「イーホームズ」が民間検査機関であっても、北側国土交通大臣が言っているとおり、彼らの業務が「公の事務」であるならば、民間人であっても彼らを「公務員」として国家賠償請求することが可能ではないだろうか。

○これまでの証人喚問や報道によると、「イーホームズ」の検査は他の検査機関に比べて通り易かったと言われており、もしかすると、彼らは本来規則等で定められている建築確認作業を、手を抜いて違法な検査を行っていた可能性がある。

 したがって、そうした違法性を確認できる事実を立証することができれば、今回の被害者住民たちが国家賠償請求することが可能かもしれない。

【追記】
相変わらず、この問題について小泉首相はだんまりを決め込んでいるが、個人的に触れたくない事情でもあるのではないかと疑いたくもなる。
マスコミも、ようやく「弱々しく」その件を指摘し始めたところが何ともおかしい、笑。
[PR]

by azarashi_salad | 2005-12-23 18:34 | 社会 <:/p>

<< ♪ブックカバーなんていかが! ♪ブロガー忘年会。 >>