▲ゾンビのような「サラリーマン増税」

a0008617_12233289.gif●<政府税調>06年度改正の議論開始 定率減税全廃を提言へ(毎日新聞:10月25日)
 政府税制調査会(首相の諮問機関、石弘光会長)は25日、総会を開き、06年度税制改正の議論を開始した。99年に景気対策として導入した所得税と個人住民税の定率減税は07年の全廃を提言する見通しのほか、国から地方への3兆円の税源移譲を実現する仕組みも議論する。政府は社会保障関係費の増大に対応するため、07年度にも消費税を含めた税制の抜本改革に踏み切る方針だ。06年度改正はその“地ならし”といえ、11月末にまとめる答申は、財政再建に向けた増税路線を明確に示す内容となりそうだ。

○衆院選が終わり、自民党が「いわゆるサラリーマン増税はしない」とあれほど公言していたのがウソのように、サラリーマン層にとっては「痛み」としか思えない増税話が、ゾンビのように次から次へと蘇ってきた。

 前回の記事で紹介した「酒税改正」もその一つと言えるが、先日のテレビの谷垣財務大臣の発言を聞いて唖然とした。
 財務大臣は、所得税と住民税の定率減税については「景気が回復状況にある中、継続する必要性が無くなった」と全廃の方向性を示す一方、同じ小渕政権時に導入された法人税減税については「税率を上げると企業が日本から離れて税金を納めなくなる」ため、元に戻す考えはないと言う。

 少なくとも我が家の家計は、回復状況どころかこの2年間で給与所得が100万円以上減少しているのだが、サラリーマンの家計は本当に回復状況にあるのだろうか。
 以下は「日経」が行った春の賃上げ交渉の結果に関する調査結果である。

●賃上げ率1.58%、2年ぶり前年下回る・最終集計 [2005年5月18日:日経産業新聞]
 日本経済新聞社が17日まとめた2005年賃金動向調査(最終集計、4月22日時点)によると、平均的な賃上げ率は1.58%となり、2年ぶりに前年の上げ幅を下回った。
 中国向け需要の拡大で製造業を中心に業績は回復しているが、IT(情報技術)関連の在庫調整などで収益環境には不透明さもある。人件費の硬直化につながる賃上げよりも一時金(ボーナス)で従業員に報いる企業の姿勢を反映している。
 全産業の賃上げ率は前年を0.04ポイント下回った。賃上げ額は4797円で、前年に比べ109円減少した。一方で、年間一時金の1人当たり支給額は前年比2.91%増の160万9008円で、増額率は前年を0.36ポイント上回った。

○この結果を見ても、やはり一般サラリーマン層の給与所得は回復と言うにはほど遠いのではないだろうか。
 その一方で企業業績の方はというと、以下のとおり「好調」のようだ。

●2005年度および2006年度企業業績見通し[2005年度 第2次予想]
 大和総研では企業業績見通しの改訂(前回2005年6月の2005年度第1次予想に続く、2005年度第2次予想)を行った。
 アナリストの予想を集計注1) 注2)した、金融を除く全産業ベース(業績集計対象310社から金融機関を除いた300社合計=DIR300)の経常利益は、2005年度予想が4.5%増益、2006年度予想が9.4%増益。
 企業業績は、過去3期間(2002年度73.3%増益、2003年度24.7%増益、2004年度24.5%増益)に比べ増益率は鈍化するが、2005年度、2006年度も増益基調を維持、2002年度から2006年度まで5期連続増益が見込まれる。

○企業業績が好調なのは、経営者の成果だけではなくて、多くのサラリーマンが「痛み」に耐えながら頑張ってきたからだと思うのだが、こうした頑張りが全体としての賃上げに反映されないから家計収入は伸び悩んでいる。

 一方で、前回も書いたが取りやすいところから取るだけでなく、収入が伸びているところから取らずに伸び悩んでいるところから取ろうとするから家計支出は増える一方だ。

 こうした「ねじれ現象」を改めようとしないから、余裕が少ない層はますます生活に「余裕」が無くなるのではないだろうか。

 大体、「税率を上げると企業が日本から離れて税金を納めなくなる」というのであれば、そういう企業にこそ自民党が日頃から主張してはばからない「愛国心」を強く訴えるべきと思うのだが。

●愛国心、国防に決意 自民の憲法前文素案判明(共同通信:10月8日)

 とここまで書いたところで、こんなニュースが飛び込んできた。一度解体して出直したらどうだ、財務省。

●<財務省旅費>水増し分1109万円に 113人を処分 [ 10月28日:毎日新聞 ]

 財務省は28日、航空機の割引運賃を使って国内出張したのに、正規運賃などの領収書を添付して水増し請求していた事例が、00年4月~今年8月末の5年5カ月で計579件あり、水増し分が1109万円に達すると発表した。不正に請求していたのは税関、財務局、国税庁などの職員計328人で、減給9人を含め、不正を認識していた113人を処分した。


【10/29:一部修正】
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by azarashi_salad | 2005-10-28 23:06 | 政治 | Comments(4) <:/p>

Commented by hirosan551 at 2005-10-29 00:05
企業と同じように、われわれも合理的になればいいのかと。われわれにはしゃべる口もあれば、歩くための足もあります。
弱いものいじめはいけない、と言うだけでは、何も変わらないような気がします。実際、企業に出て行かれたら困るのは、そこで働いているサラリーマンです。
Commented by azarashi_salad at 2005-10-29 07:16
♪ひろさん、こんにちは。
前回のひろさんのコメントで

>「生活苦」がなぜ起こっているのかが、はっきりわからないので、

と書かれていたので、参考になればと思いこのエントリーをアップしました。
申し訳ありませんが、上のコメントはよく意味が分かりません。
私達には口や足もありますが、そのまえに考える「頭」があります。
考えるためには、色々な情報を見ることが必要ですが、上で紹介した情報などはその一部に過ぎません。
ぜひとも色々な情報を読まれて、「あざらしサラダ」はこんなことを言っているけど私はこう考える、というエントリーをTBして頂くと議論が広がると思います。
Commented by ぱっと at 2005-10-29 10:08 x
あざらしサラダさんお久しぶりです。誰にも増税は嫌ですよね。ただ、収入と支出のアンバランスが限界に来ているとも思います。方法は二つに一つ。収入を増やすか、支出を減らすか。私は増税も仕方ないと思うのですが、支出も減らしてほしいです。「弱い者いじめ」と批判されるでしょうが、我々世代は年金をもらえるなどと思っている人はいません。いっそ、年金制度を完全になくしてしまえば支出は減るのに、と思います。年金や公務員の給与といったものは固定費同然なので減らすためには制度を変えるか、受給者を減らす(年金なら支給開始年齢を上げて、公務員なら数を減らす)以外にないですよね。もちろん極論ですが、支出の減少の方策も「痛み」を伴うことを覚悟しないといけない気がします。受益者はゼネコンとか官僚では必ずしもなく、普通の人々ですから。
Commented by azarashi_salad at 2005-10-29 10:37
♪ぱっとさん、こんにちは。
「収入と支出のアンバランス」は、家計にも同じことが言えるのではないでしょうか。
増税は、一方で家計にとっては支出増を招きますが、記事にも書いた通り多くの家計は収入も伸びていないのです。
国家大計も大事かも知れませんが、家族生活あっての国家だと思いますので、少なくとも第三のビールから取るよりはベンツやBMWからもっと取ればという気持ちです。

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