★誰が加害者で誰が被害者?

●児童の成績控えなど盗難 教諭がパチンコ中に(3月26日 共同通信)

 前橋市の市立小学校教諭が、パチンコ中に乗用車を荒らされ、担任をしている3年生の児童38人分の主席簿や成績の控えなどを盗まれていたそうだ。


○記事で紹介されている事件は、「小学校教諭が、帰宅途中に1時間ほどパチンコをしている間に車上荒らしの被害にあい、車内に置いていた成績控えなどが盗まれた」というものです。
 「見出し」を見ると、この記事からは「成績控えなどの個人情報を車内に置いたままパチンコをしている教諭はけしからん」という記者の個人的な「意見」がひしひしと感じられます。

 私も、この教諭に全く落ち度がないなどと言うつもりはありませんが、落ち着いてよく考えてみると、この事件の加害者は一体誰なのでしょう。教諭は、車の窓ガラスを割られた被害者ではないのでしょうか。(個人情報を奪われた児童はもちろん被害者ですが)

 この教諭が、「おれは悪くない」などと開き直っているというならともかく、すでに校長とともに保護者に事情を説明し謝罪しているというのに、この記者は、それ以上の一体何を求めているのでしょうか。

○私にも教師の知人がいますが、彼が言うには、本当に毎日忙しいにもかかわらず、予算が決められているから「サービス残業」が当たり前なのだそうです。
 この教諭も、書類を自宅に持ち帰っていたと言うことは、もしかすると「サービス残業」をしないために「持ち帰り残業」をしていたと言うことではないのでしょうか。
 そうした事件の表面には表れてこない問題の背景をえぐることこそが、報道の本来の役割ではないのでしょうか。

 この教諭の行動は、決してほめられたものではありませんが、マスコミは、すでに反省して謝罪もしている犯罪被害者を、どうしてさらに叩く必要があるのでしょう。
 さらに言わせて頂くならば、盗まれた教諭に「けしからん」と言う以上、新聞記者はみな、取材の過程で知り得た個人情報などは、決して犯罪被害に遭わないように肌身離さずに持ち歩いている、ということですか。

○この記事からは、本当に追及すべきは犯罪加害者であるはずなのに、「車上荒らしはけしからん」だと当たり前すぎて記事が売れない、「教師はけしからん」の方が読者受けするという、商業マスコミの一方的な「都合」が見え隠れするような気がします。
 そして、私はこのような報道姿勢がこの国の犯罪を助長している、とすら感じずにはいられません。
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by azarashi_salad | 2005-03-27 15:25 | 社会 <:/p>

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