【連載企画】日本が”核のゴミ捨て場”になる日-震災がれき問題の実像-(第15回)

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(第15回:「絆」のかげで流用される復興予算③)

2013年1月26日、新潟県の5市も岩手県大槌町から震災がれきを受け入れると発表した。5市(最終的には3市)が受け入れたがれき総量は256トン。岩手県のがれき処理能力は一日あたり約1000トンなので、そのわずか1/4に過ぎない。

岩手県から新潟県まで輸送している間にも処理が終わってしまう量だ。どうして、これほどまでに不可解な決定をするのだろう。2011~2013年度に交付された「震災復興特別交付税」の合計額は、新潟県全体で57.6億円にも達する。

ただし補助金「不正」報道などもあり世論の風当たりは厳しくなってきた。そのため、新潟県の各市は震災がれきを受け入れた実績を残しておきたかったのではないか。そう考えると、新潟県5市がわずか256トンの受入れにこだわった理由も見えてくる。

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2013年3月9日、全国紙が、ようやく広域処理の復興予算流用問題を報道した。大阪府堺市が、震災がれきを全く受け入れずに86億円もの復興予算を受け取った自治体として、内外から大きな批判を浴びたのだ。

堺市の住民が情報開示請求によって入手にした公文書を読み込むと、広域処理が環境省の予算消化目的であることも明らかだ。この件に関しては、地域からの報告でも紹介しているとおり、市民が自治体を提訴する住民訴訟に発展している。(本書には原告代表の寄稿も掲載している)

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本書には、新潟の大関ゆかりさん、富山の宮崎さゆりさん、愛知県東三河地域の永田雅信さん、大阪の石川和宏さん、大阪府堺市の本多真紀子さん、福岡の脇義重さんが執筆した住民運動の活動報告も掲載しているので、ぜひこちらも読んで欲しい。

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おさらいしよう。ゴミ処理施設を整備する際、各自治体に交付される補助金が「循環型社会形成推進交付金」だ。「災害廃棄物の広域処理の促進」を名目に、環境省はこの補助金に新たに「復旧・復興枠」を設けて約4百億円の復興予算を流用した。

一方、交付金で賄いきれない事業費は自治体の起債(借金)によって充当し、何年もかけて返済する。この起債を不要にするのが「震災復興特別交付税」だ。これを使えば国が全面的に穴埋めしてくれる。そして「震災復興特別交付税」の財源もまた、復興予算である。

2011年度からの3カ年、「復旧・復興枠」での交付金申請と抱き合わせで自治体に交付された特別交付税はどうか。甚大な被害を受けた岩手、宮城、福島の被災3県への交付割合はわずか10.42%、残りはその他の自治体向けだ。

新潟、富山、大阪、福岡の4府県への交付額は3カ年で144.7億円に達し、全体の1/3を占める。この4府県は、いずれも震災がれきの受け入れが強行された県だ。無味乾燥に映るかもしれないが、この数字が持つ意味をよく考えて欲しい。

(第16回につづく)

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by azarashi_salad | 2015-06-09 18:36 | 政治 | Comments(0) <:/p>

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