【連載企画】日本が”核のゴミ捨て場”になる日-震災がれき問題の実像- (第5回)

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(第5回:「広域処理」という公共事業②)

3日後の10月7日、関係都道府県廃棄物行政主管部(局)あてに一通の事務連絡が送付された。

この事務連絡は多くの問題を含んでいた。まず期日の問題だ。事務連絡が送付された10月7日は金曜日、翌8日からは3連休だった。しかも環境省は、管内市区町村分の回答をとりまとめて10月21日17時までに提出しろ、という。

愛知県は、急遽、がれき処理に関する説明会を開くことにした。その日付が10月13日。その説明を受けて各市区町村が県に回答する期限は10月20日。これでは住民に十分な説明をする時間など確保できるはずもない。

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調査方法にも大きな問題があった。この調査では、震災がれきの受け入れ「検討状況」について、三つの選択肢から一つを選んで回答せよ、と各自治体は要求されている。

AからCまで、いずれも「受入れ」の方向を示すものばかり。そもそも「受入れ困難」は最初から選択肢がない。このため、受入れは困難と考えた場合や短期間で十分に検討できないといった場合、自治体側は「白紙」回答しか方法がなかった。

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3番目の問題は「情報公開」に対する姿勢である。事務連絡は末尾で「本調査の結果について、個別の地方公共団体名は公表しないこととしています」と明示した。環境省は「広域処理を秘密裏に進めようとしていた」のだ。

この調査結果について市民団体が情報開示請求したが、環境省は自治体や処理施設の名前を不開示とした。この対応について、2014年12月大阪地裁は、国に対して情報公開するよう命じた。(その後、情報公開された)

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愛知県の住民たちは、こうした環境省のやり方に反発した。県内それぞれの地域で結束し、自分たちが住む各自治体に対して「環境省には慎重な回答を行うように」との要請を繰り広げた。

ツイッターやフェイスブック、ミクシィといったSNSも積極的に活用した。各自治体の反応や回答状況を「星取り表」のように埋めながら、住民運動の進捗状況を「見える化」したのだ。

ここでは省略するが、本には住民たちと自治体職員や地方議員との生々しいやりとりも掲載しているので、関心がある方は是非読んで頂きたい。

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結局、10月21日を環境省への回答期限とした「受入調査」に対しては、各自治体とも取りまとめ役の愛知県に「白紙」で回答した。

震災直後の4月にがれき受け入れを表明した愛知県も、住民の動きやそれをバックにした各自治体の「白紙」回答などに押されて姿勢を変えつつあった。実際、環境省に二度も「質問書」を送った愛知県は、慎重な姿勢に変わったように思われた。

(第6回につづく)

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by azarashi_salad | 2015-05-22 18:53 | 政治 <:/p>

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