「広域系統運用機関」はノーマークだった

◆電力改革法が成立、大手独占の市場に競争促す

電力の小売り全面自由化などからなる「電力システム改革」の実施時期を明記した改正電気事業法が13日午前の参院本会議で自民、公明、民主各党などの賛成多数で可決、成立した。

3段階で進める電力システム改革の第1弾で、電力大手の独占状態が続いた電力市場に競争を促し、電気料金の引き下げやサービス多様化につなげるのが狙い。安倍晋三政権は同改革を成長戦略の柱と位置づけており、改正法の成立で改革が前に動き出す。

改正法は、2015年をめどに電力需給を全国規模で調整する「広域系統運用機関」の設立が柱。同機関は、全国各地の需給計画や電力供給網の整備計画をとりまとめるほか、震災などの緊急時には電力会社が最適な需給調整を行えるようにするなど強い権限を持たせる。

付則には、16年をめどに電力小売りの全面自由化、18~20年をめどに電力大手の発電と送配電部門を別会社にする「発送電分離」の実施を目指すと明記した。14年と15年の通常国会に、それぞれ必要な電気事業法改正案を提出する。



各電力会社の上に立つ強力な権限を持つ組織が出来る、という意味を良く考えよう。要は電力業界の構造改革だ。各電力会社に指示出来る程の強い権限を持つ組織を作る事がどれほど大変な事か考えれば、この法案成立の意味が理解出来るはずだ。

しかし「広域系統運用機関」はノーマークだった、というかほとんどマスコミで報道されてなかったと思う、ツイッター上でこの情報は皆無だった。これで原発だろうが再生エネ(脱原発)だろうが関係なく儲かる「胴元」の仕組みが完成する。地域電力会社が廃炉コストの負担増で赤字化が進んでも「胴元」は痛みなし。

「宿主」の替えが出来るので、これでようやく東電を破綻処理できる体制が整ったということだと思う。「旨み」は全て「胴元」が吸い上げて、残りカスとなる東電に税金じゃぶじゃぶつぎ込んで破綻処理させるつもりだろう。

◆電気事業法の一部を改正する法律案(経産省)

上記リンクに掲載されている「法律案概要」によると、今回成立した電力改革法は第183回国会で廃案となった法案を再提出した形だが、当時法案成立に反対したみどりの風・元代表の谷岡さんのコメントを以下に紹介する。

電気事業法改正案が廃案になったことで、発送電分離ができないように言われていますが、関係ありません。今回は、広域融通と政府の介入を広げる法案です。政府は、3段階の第1段階としてこの法案を出してきました。

第2段階で電力の自由化、第3段階で発送電分離の法案が出てくることになっていますが、分離する理由は不明。ちなみに、みんなの党と共に出した法案では、わざわざ分けていません。来年第1と第2を合わせても支障なし。

では、なぜ今第1弾が必要か? 私の推測は、再稼働と原電の存命。今回、電力供給者として新たに加えられているのは、Jパワーと原電です。法案が通れば、原電をつぶすのは飛躍的に困難になるでしょう。原電は原発しかない会社ですから、原発温存になります。

つまり、いざと言う時の為と称して存続を危ぶまれている原電の存続を正当化できる法案でした。電力が逼迫していると称して、原発再稼働を政府が指示することもできる。3段階をまとめず、これだけ切り離して成立を急ぎ会期末の慌ただしさの中で成立させようとした理由だと思います。



まあ成立してしまった法案について今更どうのこうの言っても仕方ないが、これまで東電にジャブジャブ注ぎ込んだ税金をきちんと回収できるように監視が必要だ。例えば既存の電力会社はこんな風に今後は「捨て駒」にされると思う。

◆九電、ボーナスゼロで妥結 福岡

おそらく、この後来るのは東電の破綻処理だろう。そしてこれまで国が東電に注ぎ込んだ税金は全て水の泡、または廃炉部門か核廃棄物処理部門で精算するシナリオか。

「広域系統運用機関」は地域独占企業の電力会社の上に立ち、発電企業各社に対して強力な権限を持つ「仕切り屋」で全国唯一の独占組織だ。

「広域系統運用機関」がどのような性格の組織になるかは現時点で不明だが、ただの民間企業だと、地域電力会社に不良資産を残して優良資産ばかり持ち逃げされる恐れがあるので、国直轄事業か会計検査の対象となる政府出資企業が望ましい。

◆イチからわかる発送電分離

発送電分離の場合、発電部門は競争社会でギャンブルみたいなものだが、送配電部門は独占企業だから絶対に儲かる「胴元」だ。これを原発ムラと同じ「利権」にさせないためには、私企業ではなく利益を追及しない国営化が良いのではないか。

そうなると、やはり「広域系統運用機関」と送配電事業者は重なって見える。これを一社独占企業にするのは最悪ケースで、国民全体の資産になるだけ国営企業の方がまだマシだ。

一般家庭が電力自由化の恩恵を受けるためには、送配電インフラを国営化して発電事業者を自由に選べるようにすれば良い。そもそも国営化なら天下りではないし、被災者雇用の受け皿にもなるのではないか。

送配電インフラを国民全体の資産にする事自体は悪くはないが、天下りの温床にならないよう良く考える必要がある。どちらにしても、東電につぎ込んだ税金を回収するには、送配電インフラの差し押さえぐらいは必要だろうし、そんなものでは全然足りないかも知れない。

原子力ムラは、電力改革法で電力業界という巨大な利権システムの再構築、官僚の天下りポスト確保、東電につぎ込んだ税金の取りこぼし、これらを全て狙っているはずだから、どれか一つぐらいは破綻させたいものだ。
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by azarashi_salad | 2013-11-15 12:15 | 政治 | Comments(0) <:/p>

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