各自治体が震災瓦礫の受入を強行する本当の目的

◆がれき処理せず復興予算340億円 環境省「返還不要」と通達(12/22:中国新聞)

 東日本大震災で発生したがれきの広域処理をめぐり、環境省が受け入れ先から除外したにもかかわらず北海道から大阪までの7道府県の市町や環境衛生組合など計14団体に、復興予算の廃棄物処理施設整備費として総額約340億円の交付を決定していたことが21日、共同通信の調べで分かった。
 同省が「検討すれば、結果として受け入れなくても交付金の返還は生じない」と異例の通達を出していたことも判明。交付が決定された対象には、条件だった「検討」をしていなかった神奈川県の4団体も含まれていたことも分かり、共同通信の指摘を受けた同省は不適切と認め、神奈川県分の計約160億円の決定を取り消す方針だ。
 被災していない地域への流用が大きな問題となった復興予算のずさんさが、あらためて問われそうだ。
 環境省は「神奈川県分の交付は不適切だが、残る10団体は受け入れを検討したので問題ないと判断した」とし、一部は既に予算を執行、今後も執行を続ける方針だ。
 政府はことし3月、放射性物質への懸念からがれきの広域処理が進まないため、てこ入れを検討。受け入れが見込める建設中の施設を対象に、交付金(事業費の3分の1~2分の1)と特別交付税(残りの地元負担分)をセットにした支援策を打ち出した。環境省は候補施設を自ら選び出し、調整役の都道府県に受け入れを打診した。
 環境省の通達は3月15日に廃棄物対策課長から出され、同省は12都道府県計21団体の申し込みを受理した。
 だが、各地で受け入れ対策に当たる環境省職員が不足。8月の見直しで被災地のがれき量が減った際、受け入れ準備が具体化していなかったこの計14団体を受け入れ先から外したが、交付決定は覆さなかった。
 神奈川県で交付が取り消されるのは平塚、逗子、厚木の3市と秦野市伊勢原市環境衛生組合。同省は黒岩祐治知事が広域処理に熱心なことから復興予算の交付を前提に依頼した。4団体は県に協力しないと伝えた。だが環境省は受け入れ先の確保を急ぎ、団体の意向を確認する書面審査を省いていたため、県はこの「協力しない」という情報を同省に連絡しなかった。このため、この4団体は受け入れ可能施設として扱われていた。

◇当ブログでは、震災がれきの広域処理は「被災地支援を口実にした復興予算のばらまき」だと散々指摘してきたが、とうとう報道がその事実を取り上げた。
記事では「受け入れが見込める建設中の施設を対象に、交付金(事業費の3分の1~2分の1)と特別交付税(残りの地元負担分)をセットにした支援策を打ち出した」と報道しており、これにより100億円からする廃棄物処理施設の整備費が「全額国負担」となる仕組みだ。その仕組みについてもう少し詳しく説明する。

この交付金(事業費の3分の1~2分の1)は「循環型社会形成推進交付金」といい、各自治体が廃棄物処理施設を整備する際に国から交付される補助金(一般会計)で、そもそも震災前から行われていた事業だ。
しかし、昨今マスコミ報道でも問題となっているとおり、この事業(補助金)に復興予算(復興特会)が流用されており、その額はH23年度が約130億円、H24年度は約190億円にのぼる。
◆循環型社会形成推進交付金 予算額一覧(環境省)

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この補助金の交付に当たって環境省は、復興予算(復興特会)を流用して新たに<復旧・復興枠>と<日本再生重点化措置枠>という二つの予算枠を用意し、従来より補助金を上乗せて交付することとしている。
◆循環型社会形成推進交付金(平成24年度予算の概要)

<復旧・復興枠>
・現在建設中(設計中のものも含む)であって、災害廃棄物を受け入れることが可能な施設又は災害廃棄物を受け入れる既存施設の後継施設として整備している施設。
・特定被災地方公共団体に指定されている県内の市町村等が整備する施設。
交付率:交付対象経費の1/3。(一部の先進的な施設については交付対象経費の1/2)
<日本再生重点化措置枠>
・平成24年度中に竣工予定の高効率ごみ発電施設。
交付率:高効率発電に必要な設備のみ交付対象経費の1/2。


<復旧・復興枠>では実際に災害廃棄物を受け入れる施設に限らず、現在建設中や設計中の施設や既存施設の後継施設も交付対象となり、ほぼ制約が無い交付条件となっている。

もう一方の特別交付税(残りの地元負担分)は「震災復興特別交付税」といい、本来は「東日本大震災の被災自治体で必要な復興費を肩代わりする」ための特別交付税だ。
◆平成23年度震災復興特別交付税交付額の決定(総務省)
(注:三鷹市の記載がないのは(その他の団体)だから、相変らず霞ヶ関がすることは汚い)

◆復興交付税の配分先決定 野田政権、総額8134億円(3/23:朝日新聞)

 野田政権は23日、東日本大震災の被災自治体で必要な復興費を肩代わりする震災復興特別交付税の第1回配分先を決めた。総額は8134億円で、都道府県別では宮城の1973億円、岩手の986億円、福島の864億円の順に多い。
 被災自治体が国の補助金や復興交付金を受けて復興事業を進める場合、費用の一部は自治体が負担しなければならない。復興特別交付税は、こうした自治体の財政負担分をゼロにするために配られる。
 内訳は土木施設の復旧費1114億円、住民税や固定資産税の減収分の穴埋め1005億円、がれき処理費240億円など。今年度第3次補正予算では1兆6635億円が計上されたが、復興事業の遅れから今回の交付額は約半分にとどまった。残り8501億円は新年度に繰り越される。

◇しかし、この「震災復興特別交付税」もまた被災地以外の自治体にばらまかれており、具体的には、三鷹市と調布市で構成する「ふじみ野衛生組合」の廃棄物処理施設整備費として約10億円の「震災復興特別交付税」が交付されている。
◆平成23年度三鷹市補正予算

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ふじみ野衛生組合の場合、平成23年に受け取った「循環型社会形成推進交付金」と「震災復興特別交付税」の合計額は約22億円、平成24年度は暫定だが約26億円が交付されたと思われ、補助金の総額は震災以降の2ヶ年だけでなんと約48億円にものぼる。
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この「循環型社会形成推進交付金」と「震災復興特別交付税」が、震災瓦礫を受け入れた自治体だけでなく、なんと受入の検討すらしていない自治体にまでばらまかれていた不正が発覚したというわけだが、これこそが各自治体が住民の反対を押し切って震災瓦礫の受入を強行する目的に他ならない。

富山市でも、最終処分場がある山本地区の住民8割の反対を押し切って瓦礫の受け入れを強行したが、どうやら富山県は被災地とは別の「絆」があるようだ。

高岡市・高橋正樹市長と環境省大臣官房廃棄物・リサイクル部長の梶原成元氏、環境省自然環境局長の伊藤哲夫氏は高岡高校の同窓生で、森富山市長も2月の定例記者会見で伊藤氏に相談したと明言している。
◆市長定例記者会見・平成24年2月1日

政治家と官僚が地元に補助金(復興予算)を配分するのが目的か、それとも官僚が地元のコネで無理矢理受入をお願いしたのか、いずれにしてもこれらの「絆」とは何の関係もない被災者と地元住民が振り回されているのは間違いない。

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by azarashi_salad | 2012-12-24 09:41 | 政治 | Comments(0) <:/p>

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