環境省プロパガンダ「日本の力をひとつにプロジェクト」を検証する

 環境総合研究所の池田こみち顧問が「がれき広域処施策の課題と総括」と題するブログ記事を書いて、『自分たちの不作為や不行き届きをそのままに、依然として「広域処理が必要である」と広告代理店を使ってキャンペーンを続けることで瓦礫の処理が進むはずもない』と分析している。
◆がれき広域処施策の課題と総括

 被災地で瓦礫処理が進まないのは「杜撰な瓦礫総量の推定」「仮置き場の立地選定の拙さ」「仮置き場搬入時の分別不徹底」「仮設焼却炉のスケジュール管理の拙さ」「被災地処理施設の不活用」など、円滑に瓦礫を処理するための様々な施策に目を向けず、広域処理ばかりに固執した「環境省の杜撰な瓦礫処理計画」こそが最大の原因と指摘しており、まさに震災がれき広域処理問題の本質を捉えた分析といえる。

 被災地が熱望している「森の防潮堤」や「津波記念公園」のように、瓦礫を被災地周辺に埋める施策を可能な限り採用すればもっと円滑に瓦礫が処理できたのだが、広域処理にこだわるがゆえに受け入れ自治体と契約した特定の瓦礫しか搬出できず、そのため被災地では瓦礫の山を手作業で分別せざるをえず、却って処理の進捗を遅らせる原因になっている。
◆いのちを守る森の防潮堤

◆津波記念公園

 こうした本質的な問題を放置したまま、広告代理店に丸投げしたキャンペーンで瓦礫の処理が進むはずがないのだが、被災から1年3月以上が経過した今年7月に環境省と広告代理店が一体何をしていたのか、市民が情報開示請求した資料から検証する。

 環境省は、震災がれきの広域処理について「戦略的に普及・啓発を実施する」(仕様書より)ことを目的に広報業務を発注したが、本業務は競争原理により経費を抑える効果がある一般競争入札ではなく企画競争(随意契約の一種)により請負業者を選定した。
◆企画競争説明書

◆随意契約審査結果通知書等

 このため、平成24年3月30日に請負業者(電通)が提出した見積金額は、予算総額15億円の何と99,9988%にあたる14億9998万2657円となっており、環境省は同額を、4月2日と4月6日の二回に分けて支出の決済をした。(注:予算成立日が4/5のため二回に分けたことが判明)
◆支出負担行為決議書等

 この広報業務は、①環境省業務支援、②被災地(岩手・宮城)の視察支援、③住民説明会支援、④「みんなの力でがれき処理」プロジェクトの実施、⑤広域処理に関するweb広報、⑥メディア(新聞等)を活用した広報などで構成されており、これら業務の具体化の一つとして平成24年7月に電通が企画・提案したものが「日本の力をひとつにプロジェクト」である。
◆平成24年度・・・広域処理に関する広報業務仕様書

◆「日本の力をひとつにプロジェクト」(企画:電通)

1、プロジェクトの全体像
◎復興へのポジティブな想いや被災地の現状を【被災地×アート×オリンピック】の融合で発信
→昨年7月には瓦礫総量が当初推計量の約6割まで大幅に減ったことが分かっていたが、本プロジェクトが発信する情報にはそうした「現状」が全く考慮されていない。

◎「被災地と”つながる”アート」を活用して日本を鼓舞し応援!
→プロジェクトの目的が「被災地」ではなく「日本」にすり替わっている。

2、具体的なアクション
◎被災地における【お守り】の製作と選手贈呈
・「震災流木がれき」を使用して【お守り】を製作。
→「流木がれき」はそのまま埋め立て処理できるので、わざわざ【お守り】を製作する「時間」と「コスト」が無駄である。
・【お守り】に使用するマークは世界的デザイナーのコシノジュンコ氏がデザイン。
→世界的デザイナーを使用する「目的」と「効果」が不明である。
→デザイン料が有償なら復興予算「無駄遣い」の典型的な事業といえる。
・子ども30名が壮行会に【お守り】を持って来場し選手団に贈呈。
→「子どもたち」を使った印象操作ではないか。

◎シンボルオブジェの設置とメッセージ
・オブジェの素材に岩手県宮古市の「復興ボード」を使用。
・オリンピック期間中は東京スカイツリータウンに常設展示。
→昨年7月には東京都はすでに震災がれきを受け入れており、東京スカイツリータウンにオブジェを常設展示する「目的」と「効果」が不明である。
→シンボルオブジェを製作する「時間」と「コスト」が無駄である。

◎シンボルピンバッチの製作と配布
・震災流木を使用したピンバッチを製作。
・オリンピック壮行会に参加する1万人に配布。
・オブジェ設置エリア周辺で配布。
→「流木がれき」はそのまま埋め立て処理できるので、わざわざピンバッチを製作して配布する「時間」と「コスト」が無駄である。

◎オブジェ前におけるフォトセッションの実施
・メディア訴求を高めるために・・・
→本プロジェクトはメディアを使った環境省プロパガンダであることを認めている。

 こうしたプロパガンダ化した広報業務が、私たち国民の所得税や住民税の増税で集めた復興予算を使った事業として適切だったのか、仮に適切だったとしてもコスト面で無駄が無かったのか、納税者の目線で「事業仕分け」する必要があるだろう。
 「日本の力をひとつにプロジェクト」の問題点は上記にあげたとおりだが、契約額が予算総額の99,9988%である事実が示すとおり、コスト面に注目すればこれ以外にも多くの問題点を含んでいると思われ、本広報業務全体を通して問題点の整理が必要だ。

【11/11:追記】
 本広報業務の積算内訳を見てビックリ、何と人件費だけで5億円もかけており、契約金額15億円の1/3以上に相当する。これが全て被災地に使われたら一人500万円としても被災者を100人雇用できるのに。
◆広報業務積算内訳等


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by azarashi_salad | 2012-11-08 21:53 | 政治 <:/p>

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