復興予算の流用問題【その6】

 当ブログでは、震災がれきの広域処理問題について様々な問題点を追及しているが、実はこの週刊誌よりも更に早い今年3月の時点で復興予算の流用を指摘し、この問題について自治体や地方議員などに訴えてきた。それは、女川町の瓦礫を受け入れる予定の「ふじみ野衛生組合」(調布市・三鷹市)に、ゴミ処理施設の建設費用として瓦礫処理費用とは別に10億円もの「災害復興特別交付税」が交付されたことが明らかになったからだ。

 この「災害復興特別交付税」も財源は復興予算で、その予算規模は瓦礫処理予算を遙かに上回る。この交付金が瓦礫の受け入れとセットで自治体に交付されるのであれば、財政難に悩む各自治体にとってこんなに魅力的な話はない。事実、野田総理も「被災地のがれきを引き受けるわけだから、処分場の拡充や新たに処分場を建設するということも出てくる。その財政的な負担をこれからは国がしていく」と述べ、がれきの受け入れを検討している自治体に対して国が財政支援を行うと表明していたが、その財源こそが復興予算だ。

 瓦礫広域処理に反対する市民は、こうした事実関係にもとづき「各自治体が本当に被災地支援のためというのであれば、本来は被災地の為に使われるべき復興予算を一銭たりとも受け取らない、と宣言してから瓦礫の受け入れ宣言をすべきだ」と世間に訴えてきたが、これらの意見は一部の心ある政治家を除き、与野党の政治家もマスコミも未だに無視している。

◆【考察】予算から見た瓦礫広域処理:あざらしサラダ(2012年03月01日)

 政府が強引に推し進めている被災瓦礫の広域処理に、様々な観点から疑問を投げかけている奈須りえ議員(東京都大田区議会議員)。
 2/13に「③財政からの論点」というテーマでブログ記事『市民からみた「東日本大震災に伴う災害廃棄物広域処理」の論点【安全性・制度・財政】』を書いている。

③財政からの論点
『自治体が手を挙げれば、処理した費用は100%国から予算措置される。そして、その原資は災害復興税だ』
『災害廃棄物の費用は「災害復興税10.5兆円」でまかなわれる。(増税規模は所得税7.5兆円、住民税2.4兆円、法人税2.4兆円で、総額10.5兆円。「復興債」の財源として、国民も復興費用を負担することになる。所得税は、2013年1月から25年間、所得税率が2.1%引き上げられるほか、個人住民税は、2014年6月から10年間、年1,000円上乗せ)』

【*11月17日産経新聞】環境省によると、阪神大震災のがれき処理費用の総額は約3,246億円で、1トン当たりの処理単価は約2万2千円。これに対し岩手県の場合、当初の見通しは総額3千億円で、1トン当たりは阪神の3倍弱の6万3千円。宮城県は総額7,700億円で、1トン当たりは阪神の2倍超の約5万円と、両県とも阪神のコストを大幅に上回る見通し。放射性物質の付着が懸念される福島県は費用の概算も立っていない。

 なかなか興味深い指摘だ。そこで、実際の瓦礫関連予算がどうなっているか調べてみた。
 H23年度は3次補正予算で「災害廃棄物処理事業費」として3,860億円が計上されている。
 またH24年度は「災害廃棄物処理事業」が環境省から復興庁に事務移管され、復興庁の予算(案)として3,442億円が要求されている。
 災害廃棄物処理はH23~25の3ヶ年事業と言われており、恐らくH25年度も3,500億円程度が見込まれるため総額だと1兆円を超えるのだろう。これは11/17の産経新聞記事で書かれている数値(1兆700億円)とほぼ一致する。

 ところでこの1兆円の内訳について、奈須議員のブログでは「災害復興税10.5兆円」としか書かれていないが、H23年度の「災害廃棄物処理事業費」について興味深い資料を発見した。
◎再生可能エネルギー導入及び震災がれき処理促進地方公共団体緊急支援基金事業(地域グリーンニューディール基金の拡充)
 この資料の3枚目を見ると「災害廃棄物処理事業費」は86%の「補助金」と9%の「基金」、5%の「地方負担金」で構成されていることが分かる。
 さらに5%の地方負担金についても「地方負担分を全額措置し、また地方税の減収分についても併せて手当てする。これにより、東日本大震災の復旧・復興事業に伴う被災自治体の負担は実質的にゼロとなる」とされている。
 つまり瓦礫処理費用は、「補助金」(復興債=いわゆる借金)86%、「基金」(いわゆる積立金)9%、地方負担金(=地方交付税)5%、この内訳こそ政府や自治体が広域処理を進めたい最大の理由ではないだろうか。
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 さらに、瓦礫を受け入れた自治体には瓦礫処理費用とは別に「災害復興特別交付税」が交付されるという話もある。

◎女川町のがれき受け入れを条件とする特別交付税10億円余に反対
 この記事によると、女川町のがれき処理を受け入れることになった「ふじみ衛生組合」の場合は「災害復興特別交付税」1,000,258千円(三鷹市に462,029千円 調布市538,229千円)が交付され、それを両市の分担金として「ふじみ衛生組合」に支出するとか。

【3/17追記】上記特別交付税の交付が事実であることを確認した。三鷹市の補正予算によれば「震災復興特別交付税」462,029千円が交付され「ふじみ衛生組合」に305,044千円を支出している。この場合も全額を衛生組合に支出せずに「自治体負担金」を156,985千円減らしているので、実質的には「震災復興特別交付税」156,985千円を三鷹市が受け入れたことになる。ではこの「震災復興特別交付税」とはどういうものなんだろう。

◎平成23年度補正予算(第3号)に伴う対応等
 これは総務省がH23年10月に各自治体に通知した文書だが、先ほどの「地方交付税交付金」として3次補正予算だけで1兆6千億円が計上されている。地方負担分5%の補填分だけではなく、なんと瓦礫処理予算全体の約4倍にも相当する金額だ。もし、この交付金が瓦礫の受け入れとセットで自治体に交付されるのであれば、財政難に悩む各自治体にとってこんなに魅力的な話はない。このカラクリにより、汚染瓦礫の広域処理を進めたい政府及び被災地と交付金を受け入れたい各自治体、双方の利害が一致したのではないだろうか。

 どうやら瓦礫の受け入れとセットで交付金が自治体に交付される話は本当のようだ。

◎「がれき処理 協力した自治体も支援」(NHK)3月4日 19時25分
 野田総理大臣は「日本テレビ」の番組に出演し、東日本大震災で発生したがれきを被災地以外で受け入れる広域処理を進めるため、がれきの受け入れを検討している自治体に対し、国が財政支援を行う考えを明らかにしました。野田総理大臣は「被災地のがれきを引き受けるわけだから、処分場の拡充や新たに処分場を建設するということも出てくる。その財政的な負担をこれからは国がしていく」と述べ、がれきの受け入れを検討している自治体に対して国が財政支援を行う考えを明らかにしました。

◎震災と瓦礫と広域処理。その隠されていた事実
 環境省は「今回の震災の復興が進んでおらず、その原因が震災瓦礫の処理が進まない」として震災瓦礫の広域処理を打ち出したのではなく、「以前から全国の産業廃棄物処理業者と取り決めていた」から震災瓦礫の広域処理を押し進めている事が分かります。

◎笑止千万!「みんなの力で瓦礫処理」(田中康夫)
 阪神・淡路大震災以前から、産業廃棄物も一般廃棄物も「持ち出さない・持ち込ませない」の域内処理を自治体に行政指導してきた政府は何故、豹変したのでしょう? 因(ちな)みに東京都に搬入予定の瓦礫処理を受け入れる元請け企業は、東京電力が95.5%の株式を保有する東京臨海リサイクルパワーです。これぞ産廃利権! 仙谷由人氏と共に東電から献金を受け(朝日新聞1面既報)、父君が北関東の産廃業界で重鎮の枝野幸男氏、同じく東電が重用する細野豪志氏に「李下に冠を正さず」の警句を捧げねば、と僕が慨嘆する所以です。

 瓦礫広域処理の本当の目的は被災地支援ではなく瓦礫利権であるデータが次々と明るみに出てきている。もし各自治体が本当に被災地支援のためというのであれば、本来は被災地の為に使われるべき復興予算を一銭たりとも受け取らない、と宣言してから瓦礫の受け入れ宣言をすべきだろう。


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by azarashi_salad | 2012-10-23 19:43 | 政治 | Comments(0) <:/p>

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