☆新聞は問題の「本質」を正しく伝えよう

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●不案内チャーター機 都心“侵犯”(東京新聞:10月21日)
 羽田空港への着陸体勢に入ったオリエント・タイ航空のジャンボジェット機が、東京タワーに接近するなど異常な低空飛行を行っていたことが分かったそうだ。
 このジャンボ機は、首都圏の空に不案内なチャーター機だったが、羽田に着陸するチャーター機は激増しており、国土交通省は同空港に着陸するルールを定めた航空路誌(AIP)の見直しを始めたとか。

○昨日書いた記事◆「煽り記事」ではないでしょうか(あざらしサラダ:10月20日)では、その元記事を書いた毎日新聞記者の「問題提起」の手法を批判したのですが、今日の東京新聞(中日新聞)の記事は、今回の事件の問題点をかなり的確に捉えているのではないでしょうか。

 毎日新聞の記事では、都心上空を大型旅客機が飛行することをあたかも異常な事態と捉えてパイロットの操縦ミスや管制ミスを問題視していましたが、東京新聞の記事では、『管制手続きやコース逸脱に違法性はなかった。機長が滑走路を視認し、羽田の管制官が視認進入の許可を出すと、着陸までの飛行コースは機長の裁量に委ねられているためだ』としてパイロットや管制官の単純ミスではなく、羽田空港への国際チャーター便の増加が事件の背景にあることをあぶり出しています。

 この記事によると、『羽田空港で深夜・早朝に限って、国際線のチャーター便の発着が認められたのは、二〇〇一年から。同年の発着は百一便だったが、〇二年は四百七十便、〇三年は八百六十三便と激増している』そうで、規制の緩和が事件の発端となっているようです。

 さらに、『チャーター便の機長は、定期便の機長に比べAIP情報や空港周辺の地理に詳しくない。同航空のチャーター機が羽田に乗り入れたのは今年五月が初めてで、今回が五機目。問題の機長の羽田着陸は、初めてだった』ということからも、規制の緩和が発端で羽田空港への国際チャーター便が激増し、それが地理に不慣れなパイロットの増加に繋がり、最終的に今回のような事件を引き起こしたと言えるのではないでしょうか。

 また、『羽田空港への着陸は、午後十一時までは計器着陸装置などに依存し、千葉県上空から進入する。深夜と未明は騒音対策から千葉上空の飛行を控えるため計器着陸装置を使わず、タイ機のように視認方式の着陸が原則だ』という指摘も見逃せません。
 というのは、オリエント・タイ航空のジャンボジェット機が通常どおり計器進入していれば、管制官の指示に従って飛行しなければならないため、今回のような事態は恐らく防げたのではないか、と思われるからです。

 国土交通省は、『視認進入の航空機がコースを外れた場合、テロを狙ったものではないか、という疑いも生じる。テロ防止の観点からも国交省は“助言”の形で管制指示を行う方針』だそうですが、これまで述べてきた問題の本質をふまえると、事件の要因を元から断つためには、羽田空港への国際チャーター便そのものの是非、もしくはこれらの飛行コースが機長の裁量に委ねられている飛行方式そのものを、見直すことが必要ではないでしょうか。

○なお、これは中日新聞だけに掲載されている記事だと思いますが、今回の事件に関する関係者の声として『名古屋空港は、不慣れな操縦士であっても管制官のレーダー誘導や電波誘導がある。名古屋都心を低空飛行し、テレビ塔に接近することはあり得ない』とのコメントが紹介されていました。
 確かに、「栄」にある「テレビ塔=180m」(ローカルですね、笑)に接近することはないかも知れませんが、南側から名古屋空港に着陸する航空機は、名古屋市内上空を天白区・千種区・守山区と空港に近づくにつれて高度を下げる(千種区には東山スカイタワー=標高214mもある)ので、これらの地域に住んでいる読者から抗議がでなければいいのですが。

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by azarashi_salad | 2004-10-21 10:00 | 社会 | Comments(0) <:/p>

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